2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25221102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 茂穂 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20344070)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | プロテアソーム / 転写 / 分子集合 / 細胞内動態 / タンパク質分解 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
下記1-4の項目について研究を行った。 1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:プロテアソームサブユニットのプロモーターにluciferaseをつないだコンストラクトを用いてゲノムワイドなsiRNAスクリーニングを実施したが、二次・三次スクリーニングにより候補がすべて脱落した。そこで、酵母one-hybridアッセイのスクリーニング系(転写因子ライブラリーを米国の研究チームから供与)を立ち上げ、一次スクリーニングが完了した。また、出芽酵母におけるプロテアソームの転写制御因子Rpn4の結合コンセンサス配列について新しい提唱を行った(Shirozu R et al. FEBS Lett. 2015)。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:プロテアソームの20S core particle(CP)には標準型、免疫型、胸腺型の三種類が存在する。哺乳類培養細胞を用いて、その形成仕分け機構を明らかにした(Bai M et al. Biomolecules 2014)。また、出芽酵母CP形成因子であるPba3と遺伝学的相互作用を示す因子について解析を行い、CPのα7サブユニットのN末端がCP機能に重要な役割を果たすことを明らかにした(Yashiroda H et al. Mol Cell Biol 2015)。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:ゲノム編集の技術を用いて、プロテアソームのサブユニットに蛍光タンパク質を融合させることにより、内在性のプロテアソームの局在を観察可能な細胞株を樹立し、ゲノムワイドなsiRNAスクリーニングを実施し、プロテアソームの細胞内動態に影響を与える候補因子約100を得た。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下により細胞内の代謝が脂質合成にシフトする機構の解明に取り組んでおり、プロテアソームによる分解基質Xの蓄積が大きく寄与していることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明: siRNAスクリーニングとは異なるアプローチとして酵母one-hybridアッセイの系の樹立と実施に成功した。現在、各候補転写因子をクローニングして、培養細胞を用いた検討を行っており、目標であるプロテアソームサブユニット群の転写因子の同定に向かって着実な進展をしているといえる。また出芽酵母におけるプロテアソームサブユニット群の転写因子Rpn4の正確な認識配列の同定に成功し、論文発表を行った(Shirozu R et al. FEBS Lett. 2015)。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:組織特異的に発現するプロテアソームの形成機構について、新しい発見を論文として出すことができた(Bai M et al. Biomolecules 2014)。また、出芽酵母におけるα7サブユニットの意外な機能の発見(Yashiroda H et al. Mol Cell Biol 2015)は、プロテアソーム形成に関してさらに新しい疑問を提唱することとなり、その解明に向けて新たな課題を設定して研究を推進していく。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:昨年度の計画通り、プロテアソーム局在を指標としたゲノムワイドsiRNAスクリーニングを実施することができ、プロテアソームの細胞内動態の理解に大きく前進した。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下により細胞内に脂質が蓄積することを、プロテアソーム機能低下マウスを用いて観察していたが、その有力なメカニズムとしてプロテアソームにより分解される因子Xの同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:酵母one-hybridにより得られた候補因子について、哺乳類細胞を用いて検討を行う。また、プロテアソーム機能阻害の際にストレス応答性転写因子Nrf1の活性化機構について、その活性化を可視化できる細胞を樹立し、解析を進める。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:プロテアソームの分子集合不全を可視化できる細胞の樹立を目指しており、細胞樹立後siRNAスクリーニングを実施し、プロテアソーム形成に関わる因子を網羅的に同定する。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:ゲノムワイドなsiRNA一次スクリーニングの完了に引き続き、二次・三次スクリーニングを実施し、プロテアソームの細胞内動態に影響を及ぼす因子を同定する。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:同定した分子Xとプロテアソームとの相互作用の解析を通じて、プロテアソーム機能低下時に脂質が蓄積する病態生理的異議について明らかにする。
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Research Products
(9 results)