2015 Fiscal Year Annual Research Report
Royal Epigenetics: Molecular basis of the extended longevity of reproductives in social insects
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25221206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松浦 健二 京都大学, 農学研究科, 教授 (40379821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 良仁 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (60272069)
鎌倉 昌樹 富山県立大学, 工学部, 講師 (60363876)
ミケェエヴ アレクサンダー 沖縄科学技術大学院大学, 生態・進化学ユニット, 准教授 (90601162)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / 寿命 / ゲノム / 単為生殖 / ロイヤラクチン / メタボローム / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤマトシロアリの女王と他のカースト間で酸化ストレスによるタンパク質、DNAおよび脂質の傷害レベルを比較し、女王が他のカーストに比べて生体分子の傷害を受けにくいことを明らかにした。また、抗酸化酵素活性のカースト間比較により、カタラーゼ(CAT)およびスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)のうちの一つCu/Zn-SODにおいて、女王が他のカーストより有意に高い活性を示した。このシロアリ女王のカタラーゼ活性は、ショウジョウバエ、カイコガ、オオカマキリ、ムネアカオオアリ、キイロスズメバチなど他の昆虫と比較しても有意に高いことが分かった。さらに、RNA-seqとリアルタイムPCRにより抗酸化酵素遺伝子の発現量比較を行ったところ、カタラーゼ遺伝子とペルオキシレドキシン(PRX)の一つである1cys-PRX遺伝子において女王で有意に高い発現が確認された。シロアリの王・女王の長寿と抗酸化システムが密接につながっていることを示すきわめて重要な結果が得られた。 羽化直後の人工飼育の女王蜂と天然の働き蜂におけるクロマチン修飾の違いを解析した結果、ヒストンH3K4のトリメチル化の割合が働き蜂に比べ女王蜂で減少しており、このH3K4のメチル化の減少は、頭部、腹部で見られた。また、ヒストンH3K27のトリメチル化の割合が働き蜂に比べ女王蜂で増加していた。女王蜂では働き蜂に比べクロマチン修飾を介したヘテロクロマチン化が進行し、これが女王蜂の長寿命化に関与している可能性が示唆された。トランスクリプトーム解析の結果、羽化直後の女王蜂と働き蜂の腹部において、H3K4メチル化酵素の遺伝子発現の減少とH3K27脱メチル化酵素の遺伝子発現の減少が見られた。従って、女王蜂でのヘテロクロマチン化には、ヒストン修飾酵素が関与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シロアリの王・女王の長寿命に生殖虫特異的な抗酸化システムが関与していることを明らかにするなど、当初の目的通りの研究成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヤマトシロアリ属シロアリのゲノム解析においてIllumina HiSeq2000によるデータのアッセンブルの問題が解決していないため、他機種によるlong readの追加解析を行う必要がある。
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