2014 Fiscal Year Annual Research Report
科学の多様な不定性と意思決定:当事者性から考えるトランスサイエンス
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25242020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本堂 毅 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60261575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 光司 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 教授 (90173236)
関根 勉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20154651)
米村 滋人 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40419990)
尾内 隆之 流通経済大学, 法学部, 准教授 (40460026)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 科学技術社会論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下の項目を中心に研究活動を行った.① 公開シンポジウム「『科学の専門知を法廷でどう扱うか?』NSW土地環境裁判所長官プレストン判事を迎えて」 科学的不定性を前提とした社会的意思決定手法に必要な要件を明らかにするためには,海外の先行例の調査・研究は有効である.オーストラリアの科学裁判において,広く採用されている手法「コンカレント・エヴィデンス」は,科学的知識における不定性を前提とした社会的制度設計である.この手法発祥の地である,NSW州土地環境裁判所長官であるプレストン判事が来日する機会を捉え,東京霞ヶ関の弁護士会館を会場に,日本の第一線で活躍する裁判官らと共に,法学者や科学者を交えて国際シンポジウムを行った.本シンポジウムには,多くの現役裁判官,弁護士,法学者,科学らが集い,科学的不定性を前提とした意思決定手法の重要性や,手法の有用性や課題などについて意見を交換し,今後,本研究で解明すべき点が明らかになった.②環境医学の臨床と不定性調査 環境医学の最前線で活躍する臨床医らとともに,臨床研究の予備研究と臨床研究倫理委員会への申請準備を行う中で,不定性と臨床研究倫理との関係について整理を行った.③巨大技術の不定性の科学史的検証研究を行い,その成果を,科学技術社会論研究第11号において発表した(平田光司).④科学教育カリキュラム開発と実践研究 科学的不定性を伝える科学教育カリキュラム開発の実践研究を東北大学の全学教育,および大学院教育の授業において行い,その成果を全学教育テキスト「自然科学総合実験」の改訂等に反映させた.⑤科学論の諸概念と科学的不定性 科学的不定性と従来の科学論との関係について,科学技術社会論研究第11号に論文発表を行った.⑥公開研究会 ①に述べたシンポジウムを公開で行うことにより行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ順調に進展しており,その成果も学術誌等で発表を行うとともに,公開シンポジウム等で広く社会に伝えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果は,広く社会に伝えることにより,科学的不定性を前にした意思決定を迫られる人々に活用されうるものとなるはずである.そのために,本研究成果を学術的出版物だけでなく,実務家を含む多くの人々に伝わる入門書(書籍)を作成することにしているため,その作業を集中的に行う.
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Research Products
(42 results)