2015 Fiscal Year Annual Research Report
老朽化する都市インフラの選択集中整備に関する理論・実証研究
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25242029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, システム情報系, 教授 (50183760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
宮川 雅至 山梨大学, 総合研究部, 助教 (50400627)
小市 俊悟 南山大学, 理工学部, 准教授 (50513602)
渡辺 俊 筑波大学, システム情報系, 教授 (60212320)
堤 盛人 筑波大学, システム情報系, 教授 (70292886)
藤井 さやか 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70422194)
竹原 浩太 筑波大学, システム情報系, 助教 (70611747)
有田 智一 筑波大学, システム情報系, 教授 (90344861)
田中 健一 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90408724)
小林 佑輔 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40581591)
櫻井 一宏 立正大学, 経済学部, 准教授 (20581383)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アセットマネジメント / 公共施設 / 老朽化 / 人口減少 / 選択と集中 / 広域連携 / 地方分権 / 自治体実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
14名体制,4年間という大規模なプロジェクトの3年目の概要となる. (1)逐次廃止手法やネットワーク型施設の効率性評価:街路樹削減による緑視率現象の特徴づけ,道路修繕における通行止めの順序,既存ストック転用のための建築図書電子化,成熟都市での集合住宅廃止,道路網階層構造のメンテナンスの合理化などについて研究を行った. (2)リスク分析効率性と冗長性とのトレードオフ:東日本大震災,鬼怒川水害を踏まえ,ネットワークの冗長性の影響,関係主体の離脱ゲーム論的思考,復興計画策定期間の影響分析,不確実性を表す確率分布の推定などの研究を展開した. (3)基礎理論の構築;アセットマネジメントに関する最適化,ゲーム理論,空間統計学,都市解析に関する基礎理論を構築した. (4)自治体との連携:自治体ヒアリング・視察(土浦市,桜川市,大子町,神栖市,つくば市,常総市,石岡市,潮来市,津別町など),新聞(日経,朝日,東京,茨城)などの情報から全国の都市インフラ整備に関する課題を俯瞰的,かつ体系的に整理した.標記自治体の中で,とりわけ鬼怒川水害が発生した常総市において,河川整備インフラに関連する維持管理・情報整備に関して議論を行った.特に,代表者は常総市復興計画の委員長でもあり,若い世代流出の中で公共施設のアセットマネジメントに関して議論を深めた. (5)成果発表:国内外を含め多数の査読付き論文発表や口頭発表を行った.これらに加え,2016年1月,北海道網走郡津別町において研究会を開催し,科研メンバーに加え全国各地から多岐にわたる分野の研究者ら25名が参加し研究報告会を開催した.GISやIoTなども含め学際的な議論を通すことで研究が理論的に深化・発展した.一方で,津別町長も含め津別職員が参画し情報交換により実証的にも精緻化できた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)理論研究: 本研究課題は,都市建築土木,最適化,経済学,物理学,さらには環境という様々な分野を基盤とする学際領域の上に成立する.そのため,広範にわたる領域で代表的国際誌を含め,多数の論文を発表できた. (2)実証研究:自治体との連携において,北海道網走郡津別町にて視察研究発表会を行い,その行政担当者と密にヒアリング,情報交換を実施した.また,茨城県常総市水害において,復興のための積極的な情報収取・意見交換を行った.コンパクトシティや土地利用計画の見直しなど自治体固有の問題との関連性を含め,それら課題解決にむけて茨城県や市町村との調整が順調にすすんでいる. (3)組織体制:連携自治体において研究発表会を開催するなど,成果の社会還元を組織的に実施している. (4)成果発信:研究代表者の研究室が内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局主催・地方創生☆政策アイディアコンテスト2015・地方創生担当大臣賞を受賞した.応募701件の第一位である.タイトルは「日本の将来を描写する北海道津別町 若い世代が地域を解析する」でありインフラ維持管理においても言及している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度まで,研究者個人の専門性を先鋭化させるために,個人が主体となる研究を中心に進めてきた.平成27年度において,実装する自治体を北海道網走郡津別町,茨城県土浦市,茨城県常総市に絞ることで,自治体に即したアセットマネジメントを明確にしてきた.最終年度である平成28年度では,より組織的対応を進めることで,研究・理論の自治体への実装へとシフトさせる. (1)広域連携:自治体財政難も相まって,各自治体がフルセットで公共施設を維持管理する時代は終焉した.広域連携の意義についてモデル化する. (2)主体間の調整:高速道路はネクスコなどの民間会社が管理するが,その跨線橋に関しては地元自治体が維持管理する.そのため将来その維持管理が大きな問題となる.計算幾何学手法など用いて跨線橋の多寡についても検討を加える. (3)防災・減災:熊本地震の被災地でのアセットマネジメントについても議論を深める. (4)データ:ビッグデータ,オープンデータ,さらに,IoTデータなど新たなデータ利用の可能性も検討する. (5)合意形成:「総論賛成,各論反対」となりがちなアセットマネジメントの計画に対して,住民目線にて評価する手法を検討する.
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Research Products
(50 results)