2013 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱下運動時における熱中症発症の新メカニズム検証と新予防法の提案
Project/Area Number |
25242061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 恵嗣 静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 講師 (00431677)
本田 靖 筑波大学, 体育系, 教授 (20165616)
小川 剛司 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70451698)
前田 清司 筑波大学, 体育系, 教授 (30282346)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱中症 / 換気量 / 食道温 / 運動 |
Research Abstract |
実験1:深部体温が1.0℃上昇するような一過性の安静加温が動脈伸展性および血管内皮機能に及ぼす影響を検討することを目的として、12名の健康な若年の被験者において、常体温時 (加温前後) および深部体温上昇時 (+0.5℃,+1.0℃) の各体温レベルで動脈伸展性並びに血管内皮由来の血管拡張機能を評価した。動脈伸展性の評価には動脈スティフネスの指標である上腕-足首間脈波伝播速度 (baPWV) を用い、血管内皮由来の血管拡張機能の評価には血流依存性血管拡張反応 (FMD) を用いた。体温上昇時のbaPWVは,平均値では常体温時から変化しなかったが、常体温でのbaPWVが高い者ほど体温上昇時にbaPWVが大きく減少するという関係性がみられた。また,体温上昇に伴いFMDおよび血管壁への機械的刺激の程度の指標であるずり速度曲線下面積がともに増加した。これらのことから、一過性の体温上昇時に血管内皮由来の血管拡張機能が向上すること、また、動脈スティフネスが高い者においては一過性の体温上昇時に動脈スティフネスが低下する可能性があることが示唆された。 実験2:暑熱下運動時において随意的に換気亢進を抑制できるのか、また換気亢進抑制ができた場合にもPaCO2ならびに脳血流反応がどのような影響を受けるのかに関して検討した。被験者は8名の健康な男性であり、室温37°C、湿度50%の暑熱環境下で一定負荷 (50%VO2peak) 持続的運動を、①換気量をコントロールし過換気を抑える場合、②自由に呼吸を行う場合の2条件で行った。その結果、暑熱下運動時において深部体温上昇に伴う換気亢進反応を随意的に抑制できること、さらに,随意的に換気亢進を抑えることで、深部体温上昇に伴う脳血流量の低下が抑制されることが初めて示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、体温上昇時の換気亢進時における呼吸特性と血中二酸化炭素分圧低下と脳血流量の関係、さらにこの換気亢進反応が自発的に抑制可能かどうか、また、一過性の体温上昇によって血管特性や心臓冠動脈血流量が変化するかどうか、を検討した。その結果、暑熱下運動時における換気亢進反応は、呼吸数と一回換気量をモニターすることによって、自発的に抑制可能であること、や、一過性の体温上昇(深部温1度上昇)によって、動脈の拡張機能が変化すること、を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、体温上昇時の換気亢進時における呼吸特性、②この換気亢進による血中二酸化炭素分圧低下と脳血流量、血圧低下、さらに温度感覚との関係、を検討するとともに、③我々ヒトがそもそもこの体温上昇時の換気亢進反応を随意的に抑制可能かどうか、さらに可能な場合には、脳血流量や血圧反応がどのように変化するのかを検討する。
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Research Products
(5 results)