2013 Fiscal Year Annual Research Report
越境と変容―グローバル化時代におけるスラヴ・ユーラシア研究の超域的枠組みを求めて
Project/Area Number |
25243002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼野 充義 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40180690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松里 公孝 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20240640)
柳原 孝敦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (20287840)
青島 陽子 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (20451388)
小松 久男 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30138622)
乗松 亨平 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (40588711)
羽場 久美子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (70147007)
井上 まどか 清泉女子大学, 文学部, 講師 (70468619)
下斗米 伸夫 法政大学, 法学部, 教授 (80112986)
池田 嘉郎 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80449420)
柴田 元幸 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90170901)
安達 祐子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90449083)
加藤 有子 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (90583170)
三谷 惠子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10229726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ユーラシア地域研究 / スラヴ研究 / ロシアの歴史と文化 / 中東欧の歴史と文化 / 中央アジア地域研究 / ロシア文学 / 中東欧文学 / 国際研究者交流(ロシア、ポーランド、セルビア) |
Research Abstract |
平成25年は主要な課題を「ソ連東欧からスラヴ・ユーラシアへ――歴史的展望」と定め、各研究分担者が、それぞれの専門領域において、1990年代から現代における旧ソ連東欧圏の歴史的変遷を振り返り、歴史学・文学・宗教・政治・経済など、様々な分野でどのような変化があったのか、本質的に変化したものとそうでないものを今の時点から見分けながら整理する作業を行った。これは5年間の研究の前提を確認し、共有するための基礎作業であり、各分担研究者は着実に調査を進め、論文や学会報告などの形で成果を発表している。 外国人研究者などの参加を得て、学会、セミナー、特別講演などのイベントも随時開催してきた。中でもとりわけ重要な活動として位置づけられるのは、8月9日・10日に大阪経済法科大学で行われた「第5回スラブ・ユーラシア研究・東アジア・コンファレンス:ユーラシアにとっての 1913 - 2013年――偉大な実験か、失われた世紀か?」への積極的な参加および組織協力である。この学会の主催者の一つであるJCREES(日本ロシア東欧研究協議会)の代表幹事を務める沼野が基調報告を行い、ICCEES国際委員などの海外研究者の参加旅費の一部を負担し、スラヴ・ユーラシア研究に関する国際的な研究の枠組みを再検討するとともに、2015年に迫っているICCEES世界大会に向けて、研究グループとして積極的に取り組むことを再確認した。その他、オステル(ロシア)、サディ(ポーランド)、金春美(韓国)、カラノヴィチ(セルビア)、ノヴァコヴィッチ(セルビア)などの作家・美術評論家・文学研究者・詩人などを迎えて講演会やセミナーを東京大学で開催し、スラヴ・ユーラシアの広がりの中で、級ソ連東欧圏の文化・芸術と日本との関係を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
14名の分担研究者から成るかなり大人数の研究グループだが、各自が自分の専門分野において着実に研究成果を挙げており、5年計画の研究の初年度の基礎固めは順調に行われた。 また全体の統括にあたる代表者沼野(東大)や、ロシア全般の統括に当たる分担研究者の下斗米伸夫(法政大)と、各分担研究者の間の連絡・調整も順調に行われており、全体の方向性も一貫している。 平成25年の活動のうち、特に重要な意義を持ったのは、8月9日・10日に大阪経済法科大学で行われた「第5回スラブ・ユーラシア研究・東アジア・コンファレンス:ユーラシアにとっての 1913 - 2013年――偉大な実験か、失われた世紀か?」への積極的な参加および組織協力である。 このコンフェレンスを通じて、スラヴ・ユーラシア研究に関する国際的な研究の枠組みを再検討するとともに、特に中国・韓国の研究者との意見交換を緊密に行うことができ、2015年に迫っているICCEES世界大会に向けての準備態勢を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの達成を踏まえ、平成26年度は「変容と越境―グローバル化時代のスラヴ・ユーラシア研究の方法論」を主要な課題とし、分担者間の連携をより緊密にし(全体の研究集会を年に2度ほど開催する予定である)、研究を加速させていきたい。 具体的には、スラヴ・ユーラシア地域における国家や言語・文化の境界を越えての移動やそこから生ずる接触・衝突・疎外・新たなアイデンティティの創出、異郷における民族意識の強化や他民族との同化といった問題に特に焦点を合わせ、そういった視点から特にロシア・ユーラシア地域における様々な民族の「越境」的現象を総合的に取り扱い、地域の歴史を考えるための新たな枠組の構築を試みる。 関連分野の研究者を随時海外から招聘し、セミナーやワークショップを開催する一方、各分担研究者は積極的にそれぞれの専門とする地域にフィールドワークにおもむき、アクチュアルな知見を得るために努力する。 平成27度以降は、それまでの世界を踏まえ、「東アジアが発信するスラヴ・ユーラシア研究」という課題に背局的に取り組むこととする。具体的には平成27年8月に幕張で開催されるICCEESの世界大会で、国際政治、経済、歴史、文学・文化、宗教などの分野でそれぞれ少なくとも一つは代表者・分担者によってパネルを組織し(そのために多くの外国人研究者の参加を求める)、日本のスラヴ・ユーラシア研究の成果を国際的に発信する。なお、本研究課題の代表者沼野と、分担研究者下斗米は、ICCEES幕張世界大会の共同組織委員長でもあり、この大会を科研費研究グループの成果発表の場として最大限活用することを目指す。
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Research Products
(36 results)