2014 Fiscal Year Annual Research Report
越境と変容―グローバル化時代におけるスラヴ・ユーラシア研究の超域的枠組みを求めて
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25243002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼野 充義 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40180690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 惠子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10229726)
松里 公孝 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20240640)
柳原 孝敦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (20287840)
青島 陽子 神戸大学, 国際文化研究科, 講師 (20451388)
小松 久男 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (30138622)
乗松 亨平 同志社大学, グローバル地域文化学部, 助教 (40588711)
羽場 久美子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (70147007)
井上 まどか 清泉女子大学, 文学部, 講師 (70468619)
下斗米 伸夫 法政大学, 法学部, 教授 (80112986)
池田 嘉郎 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80449420)
安達 祐子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90449083)
加藤 有子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90583170)
亀田 真澄 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (70726679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スラヴ研究 / ユーラシア研究 / ロシア研究 / 中欧・東欧研究 / 越境文学 / 世界文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、主要課題を「変容と越境―グローバル化時代のスラヴ・ユーラシア研究の方法論」として、スラヴ・ユーラシア地域における国家や言語・文化の境界を越えての移動やそこから生ずる接触・衝突・疎外・新たなアイデンティティの創出、異郷における民族意識の強化や他民族との同化といった問題を特に重点的に取り上げた。ロシア、ウクライナ、旧ユーゴスラヴィア、ポーランド、中央アジアなどの地域を専門ととする研究分担者が、政治、国際関係、歴史、文学などの領域にわたってそれぞれ文献分析と現地調査を行い個別に研究の蓄積をして、学会報告や論文・著書の形で成果を挙げている。 研究代表者の沼野は高等経済学院(モスクワ)、ワルシャワ大学、マナス大学(ビシケク)、翻訳者会議(モスクワ)などに招かれて、スラヴ文学と日本の交流に関する報告を行い、現地の研究者と情報交換・討論を行った他、リヴィウで現地の文化事情調査を行った。また沼野および分担者下斗米は6月にソウルで行われた第6回東アジアスラヴ・ユーラシア研究学会に参加し、中国および韓国の研究者と交流し、東アジアにおける研究ネットワークの構築に努めた。 国内でも外国人研究者の参加を得て、セミナー、特別講演などのイベントも積極的に行ってきた。5月には日本ナボコフ協会と共催でシンポジウムを開催して、エリック・ナイマン(ソ連・ロシア文学・文化)を招へいした。8月にはICCEES学術委員会の東大での開催に協力し、その機会に来日したICCEES執行委員である歴史家のトマス・ブレマーおよびピーター・ウォルドロンを招いて講演会を行った(世話役は研究分担者の池田嘉郎)。その他、トマス・ラーフセン(トロント大学)、ナターシャ・ゲルケ(ポーランド移民作家)、ウラジーミル・パペルヌイ(ハイファ大学)、マリナ・カトニッチ=バカルシッチ(サライェヴォ大学)などを迎えてセミナー・討論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および研究分担者はそれぞれの専門分野において、文献調査および現地調査を行い、しかるべき成果を挙げているものと認められる。また上記のように、外国人研究者の参加を得て、シンポジウム、セミナーなども活発に行ってきた。 研究代表者の他、13名の研究分担者からなるかなり大人数の研究グループだが、全体の統括にあたる代表者沼野と、ロシア研究全般の統括にあたる下斗米と、その他の各分野の分担者の連携も緊密に行われている。8月に東大で行われたICCEES幕張世界大会のための学術委員会には研究分担者の多くが参加し、研究グループ全体の打ち合わせを実質的に緊密に行うことができた。 また2015年8月に幕張で行われる予定のICCEES世界大会への参加と報告を組織委員の多くが目標に掲げ、大会実施準備とともに大会でのパネル組織や自身の報告のための研究を着実かつ組織的に進めることができた。 反省すべき点としては、各研究分担者がそれぞれの専門分野の研究に集中する一方で、8月のICCEES学術委員会で集まった以後、全体で集まって議論する機会をなかなか作れなかったことである。とはいえ、実際にはICCEES幕張大会の準備のための組織委員会活動に大部分の研究分担者が参加しているため、この活動を通じて、研究メンバー間の連絡も十分にとれていたと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①2015年度は、研究グループ全体にとって十分でなかった分野を補うために新たに2名の研究分担者を加え、スラヴ・ユーラシア研究への総合的なアプローチをさらに充実させた態勢で行う ②2015年8月にはICCEES(国際中欧・東欧研究協議会)世界大会が幕張で開催される予定になっており、研究メンバーの大部分はこの大会の準備のための組織委員会においても活動する。またこの大会で積極的にパネルを組織し、自らも報告を行い、研究プロジェクトの成果を国際的に問う場として位置づける。研究代表者沼野充義と分担者下斗米伸夫はこの大会の組織委員長を、松里公孝は事務局長を、亀田真澄は事務局次長を務める。 ③ICCEES幕張世界大会終了後、プロシーディングズを編纂し、研究の中間報告として位置づける。また秋から冬にかけて、分担者全員とさらに若手研究者の参加を呼びかけ、国内での成果中間発表のための研究集会を開催する予定である。 ④この研究計画において、基礎となるのは、様々な専門領域にわたる分担者一人一人の個別の調査研究であることは言うまでもないが、2014年度の反省を踏まえ、ICCEES世界大会への参加を通じて、また全員参加の研究集会を開催することによって、研究成果を共有し、連携を強化することに努める。特に社会科学系と人文科学系の研究分担者の間の、専門を超えた脱領域的な相互乗り入れを強化し、スラヴ・ユーラシア研究の新たなパラダイムを探るための基礎とする。
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Research Products
(43 results)