2014 Fiscal Year Annual Research Report
比較植民地史:近代帝国の周縁地域・植民地統治と相互認識の比較研究
Project/Area Number |
25244025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇山 智彦 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (40281852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 千果子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00319419)
秋田 茂 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10175789)
前川 一郎 創価大学, 教養学部, 教授 (10401431)
河西 晃祐 東北学院大学, 文学部, 教授 (10405889)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 准教授 (30509378)
水谷 智 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (90411074)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 比較史 / 植民地 / 帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の最重要企画は、2014年7月10-11日に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターとの共催で開催した国際シンポジウム「危機の30年:第一次~第二次世界大戦期ユーラシアにおける帝国・暴力・イデオロギー」であった。8カ国から、世界的な研究潮流の先端を行く報告者たちを迎えて、20世紀前半の戦争・暴力と帝国・植民地の交差に注目し、諸帝国間の境界地域が戦争の中で持った重要性、帝国主義の揺らぎ・変容・再活性化がもたらした暴力や新しい植民地政策、帝国主義と反植民地主義の間で生まれた多様な思想などについて議論した。 2015年2月21-22日には、本研究の経費で雇用している学術研究員による企画として、シンポジウム「国内植民地の比較史」を同志社大学で開催し、サハリン(樺太)、アイルランド、スコットランド、アルザス・ロレーヌなどの歴史を、「国内化」「植民地化」の観点から比較する議論を行った。このシンポジウムは、本研究が重点を置くアジア・アフリカ史やロシア史と西ヨーロッパ史との接点、帝国・植民地史と国民国家史の接点を考えるためにも有益であった。 そのほかに全体の研究会を2回開き、植民地史・帝国史に関する本の合評や研究発表を行った。また、2014年3月のロシアによるクリミア併合が国際秩序に与えたインパクトを帝国論・植民地論の応用という観点から分析し、その成果を雑誌や日本国際政治学会大会共通論題、ブレーメン大学ワークショップなどで発表した。 資料収集の面では、国内の書店を通じて比較植民地史研究に有用な図書を購入したほか、研究分担者2名がそれぞれパリと北京に出張し、比較植民地史に関する史料調査・収集を行った。パリでの調査成果の一部は、平野千果子著『アフリカを活用する:フランス植民地からみた第一次世界大戦』(人文書院)に反映された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際シンポジウムは100名近くの参加者を迎えて盛況であり、大変充実した議論ができた。「国内植民地の比較史」シンポジウムも約50名の出席者を得、同志社植民地主義研究会やサハリン・樺太史研究会など、他の研究グループとの交流も深めることができた。また、ロシアのクリミア併合による国際情勢の変化に即応して、応用研究の成果を国内外に発信した。その他の研究会や資料収集も、予定通り遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターで7月に開かれる国際シンポジウム「ロシアとグローバルヒストリー」を共催し、8月にはICCEES(国際中欧・東欧研究協議会)世界大会でも成果発表を行って、国内外の第一線の植民地史・帝国史研究者との交流・共同研究を引き続き進める。また、研究報告会・合評会でのメンバー間の議論を続け、理論と実証の結合に関する認識の深化・共有を図る。成果の出版にも取り組んでいく。
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Research Products
(47 results)