2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25245001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木庭 顕 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20009856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 朝子 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10292814)
松原 健太郎 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20242068)
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
山本 隆司 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70210573)
加毛 明 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70361459)
金子 敬明 千葉大学, 大学院専門法務研究科, 教授 (80292811)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 団体 / 法人 / 比較史 / 信用 / 信託 / 組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
第三年度に該当する2015年度は、現代社会のビジネスの最先端における法人、信託、組合の問題を中心に議論が進められた。昨年度になるが、2015年1月の藤田友敬教授(連携研究者)の真に刺激的な報告とそれを巡る激論の余韻の中で、2015年7月には研究組織外の増井良啓教授を招いて法人税に関する先端的な議論を行い、また、2016年3月には田中亘教授(連携研究者)が株式上場制度に関する野心的な再検討の報告を行った。政治思想や現代の世界の経済構造にまでわたる文字通り根底的な報告であった。 この方面では既に具体的な研究成果が現れ始めている。代表者自身、ローマ法からの大きなパースペクティヴにおいて現代日本の組合契約が機能不全に陥っている状況と理由につき分析を試みた。組合論、特に合有図式に対して全面的な見直しを迫るものである。研究分担者の加毛明は、信託と法人の緻密な比較をものにした。それぞれの破綻の局面においての現行の規律を責任財産の観点から制度間比較する研究である。比較史的見通しは必ずしも明示されないが、それなしではこのような緻密な比較には至りえなかったであろう。 他面、個々的には、研究分担者松原健太郎による中国近世史の研究、具体的には「管業」というキータームに着目した、土地をめぐる団体の動きを追跡する研究、が大きく進展したこと(本プロジェクトと密接である)、研究分担者桑原朝子の近松の作品を通じての近世日本商人組織の研究が法制史学会で試みの報告をするまえに進捗したこと、を挙げることができるが、いずれも公刊には至らない。 若い実務家を組織してのセミナーはこの年度は開かれなかったが、全体の研究会には多数つめかけ、活発に議論に参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加者の質を反映し、一方でビジネス・ローの最先端において進捗が著しい。もちろん、この方面において研究が盛んであるのは一般的な状況であるが、技術的議論に陥りがちなところ、本プロジェクトに関わる研究者は前提を問う極めて独創的な研究を遂行している。本プロジェクトにおける比較史サイドの研究者との交流が一助になっていることは疑いない。 他方、比較史サイドにおいても、研究分担者松原健太郎と桑原朝子の研究が著しく進展した。また研究代表者はこれら、およびローマ法と先端ビジネスの間のリエゾンを図る役割を意識的に果たし、この役割は一個の論文にまで結実した。 中国と日本に関する比較史的研究を全体に還元する機が熟したことが見通しとして大きい。 しかしながら、公法関係分野の研究を全体に還流させる方面は手が付けられておらず、ここが一つの課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
以上に述べたことから自動的に導かれるように、まずは中国史日本史に関する研究の報告を全体会において実現すること直近の課題である。それは次年度中に実現する見込みである。 ビジネスの最先端の方面の新たな知見を伝統的な法人理論に折り返す作業をする必要が有る。組合に関しては既に試みられたが、やはり中心的な課題である法人理論再構築に寄与することが今後大きく求められる。 その時に、どうしても公法の諸論点が不可欠となる。公法サイドの研究の組み込みに若干の難点を抱えるだけに、これが最も大きな課題であるかもしれない。最終年度においてまとめるためには、第4年度目にあたる次年度においてこの点を埋める必要が有る。
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Research Products
(5 results)