2016 Fiscal Year Annual Research Report
アジア契約法原則(PACL)総則編構築に向けて──東アジア横断的比較法研究
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25245010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金山 直樹 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (90211169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山城 一真 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (00453986)
鹿野 菜穂子 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10204588)
加藤 雅之 神戸学院大学, 法学部, 教授 (10388770)
田岡 絵理子 国士舘大学, 法学部, 准教授 (20551039)
木原 浩之 亜細亜大学, 法学部, 教授 (40386446)
松尾 弘 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (50229431)
北居 功 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (50255593)
笹岡 愛美 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50557634)
高 秀成 金沢大学, 法学系, 准教授 (50598711)
曽野 裕夫 北海道大学, 法学研究科, 教授 (60272936)
原 恵美 学習院大学, 法務研究科, 教授 (60452801)
沖野 眞已 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80194471)
三枝 健治 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80287929)
山下 純司 学習院大学, 法学部, 教授 (90282532)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | アジア法 / 契約法 / 共通法 |
Outline of Annual Research Achievements |
PACLの契約総則編の中から、「履行・不履行」の部分に焦点を当てて、集中的に検討した。 全体的活動として、10月には中国・長春において「履行」に関するフォーラムを行い、12月には韓国・ソウルにおいて、「不履行」に関するフォーラムを行った。そこでの議論は録音・文字化して、メンバーの共通財産とすることができた。さらに、12月には、金山は、同様のアジアを対象とする研究プロジェクトたる「アジア統一国際私法原則」(科研費研究)の会合に出席し、そこでの議論の進め方やメンバーの役割、そして方法論についても学んだ。なお、これまで、しばしば3月に日本で開催してきたPACLフォーラムだが、上記二つのフォーラムが外国で行われたことから今回は見送りとし、次回は、次年度の5月末に開催することとなった。 個別的活動としては、ASEANの構成国でありながらも、PACLのメンバーを輩出していない国々の空白を埋めるべく、別途出張の機会に、タイおよびラオスにおいてリクルート活動を行った。5月には晴れて新メンバーを迎えることができる予定である。また、昨年度、改めてリクルートしたフィリピン、マレーシア、シンガポールなどの参加者は、積極的に参加し始めている。 特筆すべきは、メンバーの金山・鹿野・沖野・三枝・田岡が、「約款」をテーマとするシカゴ大学との共同セミナー(9月13・14日)において、あるいは司会を担当し、報告を担当し、また議論に積極的に参加するなどしたことである。グローバル化の「文法」たる英米契約法の基礎を生の形で体感することができた。 研究成果については、個別のテーマにつき、メンバーがそれぞれ発表している。海外の研究協力者も適宜、業績を発表している。ただし、肝心のPACLの条文そのものについては、未だ確定版がなく、理由書や比較法コメントとともに、その公表は、次年度以降の最重要課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、ASEAN構成国10カ国、および、日中台韓の研究者が協力して、対等な形で行うという先導的かつ画期的な方法を用いている。そのため、幹事国を定め、基本的な意思決定は日中韓で行うことになっているが、その間の合意を得ることが難しい場合がある。 また、構成国メンバーが多いため、当初のメンバー会員が欠けたり(台湾)、移動したりして(タイ)、必ずしも万全の体制で研究を維持することができなかった。 さらに、優先的に検討を進めている「履行」および「不履行」の章に関しては、それぞれ中国および韓国のチームが起草を担当しているが、その進行は想定よりも遅いのが現状である。 何よりも、日常的に連絡を取り合えるような距離にないことが、メンバー間の共同目的意識の希薄性に繋がっているように思われる。しかも、連絡で用いる言語は英語であり、いくら容易に操れるといっても、心理的壁がないといえば嘘になろう。英語を共通語としているため、意思疎通が難しい場合もないではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究成果の一部でも公表に結びつけ、活動に弾みをつけたい。さしあたり、これまでの貢献度の最も高い韓国チームが草案を担当する「不履行」の部分を第一候補にしたい。その目的のため、5月末には、慶應義塾大学においてPACLフォーラムを開催し、この部分の「条文」を確定したい。その後、起草グループを編成し、そこにおいて英語表現をチェックするとともに、全体の整合性を図り、これに「理由書(適用設例付き)」および「比較法」コメントを付して、完成したいと考えている。 成果の公表媒体としては、ケンブリッジ大学出版会を考えており、「不履行」の部分の完成を待って、秋から交渉を始める予定である。同出版会は、アジア法関係のものが手薄であることから、PACLは恰好の候補になるものと思われる。
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Research Products
(34 results)