2015 Fiscal Year Annual Research Report
爆発的重元素合成の第1,2ピークに関わる中性子過剰核の研究
Project/Area Number |
25247045
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西村 俊二 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 先任研究員 (90272137)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | β崩壊 / 中性子過剰核 / r過程 / 超新星爆発 / 重元素合成 / 励起エネルギー / 遅発中性子放出 |
Outline of Annual Research Achievements |
爆発的元素合成において生成された質量数A=130近傍のテルルやキセノンなど第2ピーク成分の形成に起因する中性子魔法数N=82を持つ130Cd, 129Ag, 128Pd, 127Rhを含む110個もの非常に中性子過剰な原子核の半減期測定に成功した。第1ピーク成分において重要な役割を果たすと考えられている2重魔法核78Ni(中性子数N=50, 陽子数Z=28)に比べ、79,80Ni,77Coの崩壊スピードが速くなるのに対し、N=82においては、崩壊スピードがなだらかに速くなることを明らかにした。得られた最新のデータを超新星爆発のネットワーク計算に取り込み、太陽系、および金属欠乏星の組成比と比較したところ、超新星爆発における原子核の中性子捕獲と光分解反応の平衡環境下における元素合成シナリオと矛盾しない結果を得た。さらに、超新星爆発における元素合成環境依存性をしらべた結果、希土類領域における「重元素存在比の普遍性」を確認した。一方、第2ピークにおけるスズ、アンチモン、ヨウ素、セシウムの生成量はr過程のタイムスケールによって大きく依存することが分かった。また、第2ピークから希土類領域における半減期の解析に成功しつつある。 一方、r過程で生成されたピークの微細構造を調べるために、非常に中性子過剰な原子核の遅発中性子放出確率、中性子エネルギー測定に向けた基礎的な実験を行った。データ解析を行い、実験装置の最適化のための情報を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としている第1、2ピーク構造の鍵を握る中性子魔法数N=50,82近傍の中性子過剰核の役割を調べるために78Ni, 128Pd近傍の半減期を20個、110個測定することに成功した。さらにその魔法数について調べるためにそれらの励起レベルを調べたところ殻構造におけるクエンチングシナリオに対する否定的な実験結果を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
第1ピークから第2ピーク領域(質量数A=100近傍)の崩壊測定実験を実施し、重元素合成の初期条件、およびweak r過程に関する原子核の不確定性を改善する研究を進めている。今後、r過程の合成フローが一挙に進む領域である質量数A=100近傍の崩壊測定実験を実施する。さらに、r過程で生成されたと考えられている質量数A=165近傍の希土類元素のピーク構造の形成についての初めての研究を開始する。 さらに、中性子過剰核に特徴的な遅発中性子放出確率とその中性子のエネルギー測定に向けた検出器の開発を進めていく。
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Research Products
(28 results)