2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25247093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (00210790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 光 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60335297)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線レーザー / X線自由電子レーザー / 高エネルギー密度状態 / 内殻電子励起 / 可飽和吸収 |
Research Abstract |
X線自由電子レーザーSACLAを用い、高強度場での実験を行うとともにレート方程式を使った時間-空間利得分布の計算機シミュレーションおよび、近接原子のイオン化が内殻励起電子状態に与える影響についての詳細モデルを構築してきている。実験では、まず、明確な可飽和吸収過程が観測でき、その閾値は理論的な予測にほぼ合うことが示された。また、この中で、光の空間モードが変化していることが観測されたが、それは、吸収端がシフトしたことにともなう屈折率の実部の変化が引き起こしたX線のガイド効果であることが判明した。また、高強度X線照射時に、吸収端の傾きが変化する現象の説明として、近接原子のエネルギー準位が、その周りのイオン化状態により様々なエネルギーレベルをとり、その結果傾きが鋭利なものからなだらかなものに変わることが理論モデルにより明らかになった。 一方、利得発生の実験を行った結果、理論的な予測の閾値で、計算機シミュレーションによる強度依存性にあったKα線の利得が観測された。計算モデルには、まだ、発振スペクトルまでは考慮されていないが、実験の結果から、可飽和吸収同様の大きなエネルギー変調が発振線のエネルギーレベルに影響していることが明らかになった。この影響で、通常、上準位の寿命で決まる2eV程度の拡がりしかないスペクトルが20eVの幅で発振していることが明らかになった。現在は、発振したすべてのスペクトルで位相同期がとられているわけではないが、もしこのスペクトル幅で位相制御ができれば、5asというパルス幅のレーザー増幅も可能であることが示された。これらの結果は、本研究の実験で初めて明らかになったことであり、今後応用が期待されるところまで成果を出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、利得計測まで出来上がっており、また、種光を入れた実験も試されている。その意味で、ホロー原子固体を使った応用としてX線レーザーの光の質を上げる研究は、順調に進展している。可飽和吸収や利得モデルも、詳細物理モデルが徐々に開発されており、ホロー原子固体の緩和を含むダイナミックスが明らかになるようになってきた。したがって、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
X線自由電子レーザーの2色化の技術ができてきており、それを用いたシード実験も可能になってきた。これにより、狭窄化されたレーザー光を発生できるようになり、新たなX線領域の量子光学的な応用ができるようになってきた。それらをクリアにする実験設計を行い、理論的予測精度も上げていく。
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Research Products
(5 results)