2014 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡プラズマによるスマート燃焼サーマルマネージメント
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25249015
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
冨田 栄二 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80155556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕二 イマジニアリング株式会社(研究開発部), その他部局等, その他 (10212789)
赤松 史光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10231812)
佐々木 浩一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50235248)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱工学 / プラズマ応用 / 二酸化炭素削減 / 含水燃料 / 非平衡プラズマ / マイクロ波共振回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタン・酸素・アルゴンの予混合ガス中で誘電体バリア放電を生成し,そのアフターグローガス中でレーザー着火実験を行った.水分を含む予混合ガスを用いた場合,放電の支援が無ければ着火確率がゼロとなるレーザー照射条件において,放電を生成すると100%の着火確率が得られた.レーザー照射直後における火炎核の伝播速度は水蒸気を添加しない場合の伝播速度と比べて遜色が無く,含水性燃料の着火・燃焼においてプラズマ支援が有効であることを示した.定容容器内において,含水エタノールと空気との予混合気にレーザー着火をさせた場合,含水率10~20%程度においては,含水率0%の場合よりも初期燃焼が促進されることがわかった. 小型で高出力,制御性の良い1.6kW@2.45GHzの半導体マイクロ波パルス発振電源を試作した.これによりレーザー点火への重畳時期,重畳時間,エネルギーを数百ナノ秒から数マイクロ秒オーダーで任意に制御できるようになり,プラズマを数十マイクロ秒間持続させることによって,点火に必要な最小のレーザー入射光エネルギーを低減でき,通常のレーザー点火より,点火可能な空気比の条件が広がることがわかった. メタン・空気予混合気に対する反応解析を行い,誘電体バリア放電を模擬した電界を考慮することで,予熱帯において燃焼反応促進効果が現れることがわかった.ノルマルヘプタンやバイオマスサロゲート燃料を用いた燃焼化学反応において,非平衡プラズマで生成するOHラジカルの添加時期で,自着火遅れ時間の制御ができることを反応解析で明らかにした.また,火花点火絶縁分光法(SIBS)を利用して,火花放電時の水素原子と窒素原子の発光強度比から水素噴流内の濃度を求め,水素噴流内濃度変化に及ぼす雰囲気圧力の影響について調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の部分で述べたように,多くの知見が得られた. まず,プラズマ支援燃焼における基礎的な知見として,平成25年度には,プラズマ支援燃焼に用いるマイクロ波プラズマの電子温度および電子密度をレーザートムソン散乱法により測定し,1気圧を超えるガス圧においても非平衡プラズマが生成されることを明らかにするとともに,その理由を考察した。平成26年度には,誘電体バリア放電のアフターグローガス中でのレーザー着火実験を行い,水蒸気を含む燃料であってもプラズマ支援を用いれば水蒸気を含まないガスと同等の火炎核伝播速度が得られ,着火確率が飛躍的に高まることを示した.定容容器内の含水エタノールと空気との予混合燃焼においても,少し水を含んでいる方がレーザー着火時には初期火炎生成が促進されることがわかった. また,メタン・空気予混合気に対する反応解析を行い,誘電体バリア放電を模擬した電界を考慮することで,予熱帯において燃焼反応促進効果が現れることがわかるなど,数値シミュレーションも進んでいる. 半導体マイクロ波発振電源の高性能化により,マイクロ波発振の時間制御が容易になったこと,共振回路を利用したマイクロ波発振、受信プラグの開発により,マイクロ波の電界集中できる領域を広げたり,位置を変えること,により,非平衡プラズマによる初期火炎や燃焼中の火炎の時空間的制御の可能性を示したことで,非平衡プラズマ制御の知見をより一層得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
誘電体バリア放電のアフターグローガス中でのレーザー着火実験装置を用い,誘電体バリア放電から供給されるラジカルの密度と着火特性改善との間の関係を明らかにする.特に,水蒸気を含む燃料の着火に焦点を絞り,着火反応にとって負の効果を持つ水蒸気をプラズマによって正の効果を持つOHラジカルに転換するという本研究計画のコンセプトを確かめる研究を行う.さらに,定容容器内で,含水エタノールと空気の予混合気へのマイクロ波重畳による燃焼促進効果を調べる. プラズマ支援点火に対する研究として,マイクロ波出力および重畳パターンがレーザー励起プラズマの存在時間の延長および点火特性に与える影響に対する検討を行う.またプラズマ支援燃焼に対する研究として,難燃性燃料であるアンモニアに対するプラズマ支援燃焼の効果を明らかにすることを目的として,予混合気に対する誘電体バリア放電を模擬した電界を重畳した条件における詳細素反応解析を行う. 火花放電等の火種が不要な,マイクロ波共振回路利用の非平衡プラズマ発生用プラグを開発した.発振用,受信用に役割分担することで生成したプラズマの拡大化が可能となり,非平衡プラズマによる初期火炎,燃焼中の火炎の時空間的制御の可能性を確認する. H27年度は、本研究の最終年度に当たるため,マイクロ波プラズマによる火炎の時空間的制御,非平衡プラズマ生成条件の最適化と現象解明における分担課題の実施と,これまでに行ってきた研究課題の中で積み残しがないか,新たな課題はないかを確認する.また,まとめとして,わかったこと,わからないことを整理,分析し,スマート燃焼の概念固め,非平衡プラズマ制御による火炎の時空間制御に関する知見整理,方策,および今後の展開として,低質燃料への適用等,スマート燃焼によるサーマルマネジメントの学理探求に注力する.
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Research Products
(10 results)