2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25249078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 太一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20414964)
松宮 智央 近畿大学, 建築学部, 講師 (20454639)
保木 和明 北九州市立大学, 国際環境工学部, 講師 (70599026)
倉田 真宏 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70624592)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鋼構造 / 耐震設計 / 摩擦 / トライポロジー / 振動台実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
低層建築物を対象に,①基礎と上部鋼構造を緊結せず,鋼構造柱脚を基礎上にモルタルを介して直置きする,②鋼ベースプレートとモルタルの間に材料を塗布し摩擦係数を低減・調節することによって,上部構造への損傷を抑える,③ストッパー機能を付加することによって,大地震下における過大水平変形や鉛直方向への浮き上がりを防ぐ.というコンセプトに基づく構造システムの構築を本研究の射程とし,それを実現するために,(1)鋼とモルタル間の繰返し摩擦特性の定量化,(2)摩擦係数の低減と制御,(3)ストッパーを用いた変位制御,(4)提案構造システムの設計法からなる4フェーズに,準静的実験,振動台実験,トライポロジー理論,弾塑性時刻歴応答解析を駆使することによって取り組む.本研究の初年度においては、(1)に注力することとし、地震時における現実的な荷重条件である水平2軸載荷実験から摩擦係数とすべり変位の関係に対する基礎的知見を得たうえで、その現象を再現しうるモデル化に取り組んだ。また上部構造が剛ではない場合起こりうるスティックスリップ現象を,鋼とモルタルの摩擦面の上に骨組を模した試験体に対する実験によって把握するとともに、摩擦特性を分子間の凝着と掘り起こしという2つの機構によって説明するトライポロジー理論を用いて、この現象を解釈した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4フェーズからなる本研究の第1フェーズである本年度研究は概ね達成することができた。鋼とモルタル間の摩擦は0.6~0.8と極めて大きく、本研究が指向する直置き型構造に照らし合わせて許容できない摩擦係数ではあるが、摩擦の基本特性の理解とそのモデル化において極めて有益な知見を得ることができた。また上部構造が剛体であれば生じることのないスリップスティック現象の実質を知ることと、その現象に対する解釈は次年度以降の摩擦係数低減・調節に関する課題設定に有益な情報をもたらしている。次年度に向けての準備は予定通り実施されていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、摩擦係数の低減と制御を、次々年度はストッパーを用いた変位制御を、そして最終年度には提案構造システムの設計法を、それぞれ検討し、所定の成果を期間内に達成したい。次年度については、黒鉛潤滑をその基軸におく予定であり予備検討を進めている。
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