2015 Fiscal Year Annual Research Report
積雪シミュレーションを用いた除雪エネルギーゼロの北方型スマート街区の開発
Project/Area Number |
25249082
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬戸口 剛 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20226674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 拓哉 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (40462345)
羽山 広文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80301935)
石井 旭 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30635529)
松村 博文 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, その他 (90462324)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市デザイン / 積雪寒冷都市 / オープンスペース / デザインガイドライン / 風雪シミュレーション / 風洞実験 / 北方型スマート街区 / 札幌市都心部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、冬季のエネルギー消費が大きく、その削減が課題の積雪寒冷都市において、屋外空間での除雪エネルギーの負担が無く、二酸化炭素排出量を低減させる、北方型スマート街区のモデルを開発する。平成27年度研究では、積雪寒冷都市の中でも積雪が多く、人口密度が高い札幌市都心部において、高層高容積街区におけるオープンスペース(以下、OS)の利用実態について明らかにした。それらの結果に基づいて、北方型スマート街区における積雪寒冷期を対象とした、オープンスペースのデザインガイドラインを開発した。なお、冬期で積雪のない寒冷期と、積雪のある積雪寒冷期に分けた。 ①寒冷期:歩行動線は最短経路以外にもOS全体に分散するため、自由な動線を確保する。着座場所は日当りのある箇所に多く、都心OSで日照を得られるよう周辺の建物を配置する。例えば、タワー型では高層部を後退させ、着座場所は主要な動線に沿うことが望ましい。 ②積雪寒冷期:積雪は歩行を妨げる要因となる。建物間や広場通過の最短経路は除雪や融雪をする。周辺の建物は歩行者の動線を確保するために、建物際や入口に雪の吹きだまりを形成しない形態とする。例えば、建物の壁面を揃えた立面が望ましい。一方、積雪は立止りや雪遊びなど積雪寒冷期特有の利用行動を促す。都心OSでは、雪を残すように動線計画や堆雪スペースを確保する。 ③両期間共通:建物間や広場を通過する最短経路は、両期間を通して歩行者が多い。積雪寒冷期でも除雪により最短経路を確保する。その際、地区周辺からの動線や建物の入口などの配置を考慮する。 これら都心OSのデザインガイドラインは、雪の吹きだまりや風雪の影響を低減し、雪処理エネルギーと地区エネルギーを削減する、北方型スマート街区デザインに反映される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は順調に進展しており、研究成果をJournal of Asian Architecture and Building Engineeringおよび日本建築学会、日本都市計画学会に発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、積雪寒冷都市の都心部オープンスペースにおいて、積雪寒冷期特有の利用実態を明らかにし、全ての雪を除雪または融雪しない方が望ましいことを示した。また、平成26年度からの継続研究として、早期段階から、対象街区全体の形態・用途の検討と、環境・エネルギー評価を並行し、段階ごとに空間デザインの検討を行うことで、エネルギー消費や屋外環境を良好にする空間デザインを決定できることが明らかとなっている。平成28年度では、引き続き以下の3点を明らかにする。 ①北方型スマート街区の開発における環境・エネルギー評価として、雪処理エネルギーと建築消費エネルギーを合わせた、街区エネルギー消費量のシミュレーションを行い、総体のエネルギー消費量を把握する。②雪処理エネルギーと建築消費エネルギーの総計による街区エネルギー消費量を用い、北方型スマート街区のモデルを再検討する。③街区エネルギー消費量と街区空間の更新パターンの検討から、積雪寒冷都市において望ましい都市空間となる、北方型スマート街区の開発を発展させる。さらに、それを実現するための空間ガイドラインを明らかにし、その結果を北方型スマート街区の開発にフィードバックする。 今後はこれらの結果より、北方型スマート街区モデルを開発し、現実に受ける風雪の影響や、除雪のためのエネルギー負荷量を明らかにする。平成28年度では、引き続き風雪シミュレーションを用いた、北方型スマート街区モデルを開発し、実際の都心空間や対象街区空間において、雪の吹きだまり量や風速、除雪に必要なエネルギー量、それらの風雪環境下での人間の行動などを引き続き明らかにする。さらに、高層高容積の北方型スマート街区における、環境・エネルギー評価を行う。調査は引き続き、札幌市などの北海道内諸都市と中国瀋陽市で行う。また、参考事例として、カナダや北欧の諸都市でも調査を行う。
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Remarks |
平成27年度「文部科学大臣表彰科学技術賞」受賞
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Research Products
(5 results)