2013 Fiscal Year Annual Research Report
ユダヤ・イスラーム宗教共同体の起源と特性に関する文明史的研究
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25257008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 裕 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20223084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 研 立教大学, 文学部, 教授 (00187238)
桑原 久男 天理大学, 文学部, 教授 (00234633)
細田 あや子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00323949)
高井 啓介 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (00573453)
月本 昭男 立教大学, 文学部, 教授 (10147928)
高橋 英海 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20349228)
菊地 達也 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40383385)
長谷川 修一 盛岡大学, 文学部, 准教授 (70624609)
葛西 康徳 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80114437)
江添 誠 慶應義塾大学, 文学部, 助教 (80610287)
牧野 久実 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (90212208)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一神教 / ラビ・ユダヤ教 / 古代ローマ帝国 / 法と宗教 / 国家と宗教 / イスラエル |
Research Abstract |
本研究は12名の研究分担者と10名余の研究協力者に支えられた、複数のディシプリンを持つ総合的、学際的な研究である。したがって、当初より、3つの研究グループを設定して機能的、かつ体系的に研究課題を遂行することを大きな目標として掲げてきた。実際に1年間の業務遂行の総決算として、2014年3月17,18日の2日間に研究会合を開催し、各自の個別研究の全体を俯瞰することができた。その結果として、当初構想していた研究班に若干の修正を施すことで、全体をより体系的に把握できることがわかった。以下はその修正された研究班と、より明確化された課題の内容である。 研究班Aは「法と宗教」グループと命名し、古代ローマ時代のユダヤ社会における「法の宗教」と「信仰の宗教」の成立史に焦点を当て、一神教の登場による古代国家の枠組みの変容を分析する。問題の焦点は、古代ユダヤ社会がローマ帝国との2度の戦争を経て、社会体制が大きく変容する中で、異邦人キリスト教とラビ・ユダヤ教の両共同体が、ローマ帝国の法制度とどういう葛藤を引き起こしたかである。 研究班Bは「宗教文化」グループと命名し、日常生活に及ぼす宗教的要素の拡大と世界観の都市構造への反映に焦点を当て、一神教の規範拘束力の日常生活への浸透の度合いを解明する。ラビの影響力の増大で、ユダヤの日常生活にどの程度、戒律が浸透していったかを、宗教史と考古学の視点から分析する。 研究班Cは「一神教社会」グループと命名し、イスラーム統治下における一神教共同体の相互関係に焦点を当て、啓示法体系を持つイスラームが既存の一神教共同体を統治する仕組みの生成と発展を考察する。ラビ・ユダヤ教とイスラームの啓示法体制の類似性がどのように生成したかが大きな焦点となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年3月に2日間にわたって研究成果の報告を行ったが、その報告内容から判断して、研究分担者と研究協力者は、代表者の要望とのすり合わせを行って、各自の課題を具体的に構想できるようになっていることを実感できた。この段階でも、各自の発表に対して、分野の違う研究者同士の学際的な活発な議論が若干見て取れたので、まだ十分とは言えないが手ごたえのようなものをつかむことができた。 また、本研究においては、若手のポスドク、博士課程の協力者によって、事務局を運営する方式を取り入れたことにより、代表者の意図に沿った運営がスムーズに進んだことが実感できた。研究者相互の連絡が密になるとともに、若手の研究の切磋琢磨にもなることがはっきり認識できた。まだ十分とは言えないが、ホームページ作成による研究の公開も、彼らの力によるところが大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
事務局体制に立脚した体系的研究を推進し、3つの点に留意していきたい。 第1に、若手の研究協力者による事務局を運営のかなめとして、3つの研究班ごとに担当者を配置し、運営の円滑化を図る。 第2に、今年度において各研究班を主体とする3度の研究会を開催し、相互の研究促進を目指す。これについては、開催時期として、5月、7月、10月を想定したが、日程調整に難航することが判明したので、臨機応変に対応していく。 第3に、年度末に公開シンポジウムを開催して成果を公開することを目標としているが、現時点では、各研究班の進捗度が未詳のため、研究会合での成果に即して考えていく。それに関して、3度の会合の後、12月に会合を開いて、シンポジウムの構想と打ち合わせを行う。その時点で、全体の研究の進捗度を測り、シンポジウムのテーマや発表者を決定していく。
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Research Products
(15 results)