2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝・形態学的手法を利用したアフリカ産オナガザル科霊長類の採食戦略の解明
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25257409
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
五百部 裕 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (20252413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
今井 啓雄 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (60314176)
松田 一希 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90533480)
早川 卓志 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (00758493)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | オナガザル / 採食戦略 / 形態学的解析 / 遺伝学的解析 / グエノン / コロブス / ウガンダ / タンザニア |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度同様、ウガンダ共和国カリンズ森林において、アカオザル、アオザル、ロエストザルの採食に関するデータを収集した。調査期間中に、ロエストザルの肉食と分配を観察した。とくに分配行動は、樹上性のアフリカ産オナガザル科霊長類においてほとんど観察されておらず、貴重な資料を得ることができた。合わせて、オナガザル科霊長類との採食競合が考えられるチンパンジーの採食に関する資料も収集した。 上記3種とアビシニアコロブスの糞を収集しその粒度を計測した。とくにアビシニアコロブスについて、各植物部位(果実、葉、花)の採食時間割合の季節変化と糞粒度の関係を調べた。予備的な結果ではあるが、果実をより多く食べる時期には、葉を主食としている時期に比べて糞粒度が細かくなる傾向がみられた。これは葉を消化することに特殊化したアビシニアコロブスにとっても、葉よりも果実のほうがより消化・吸収にすぐれた食物であることを示唆していると考えられた。 アカオザル、アオザル、ロエストザルの苦味受容体TAS2R16の機能解析を実施した。種内多型があるため、それぞれ代表的な遺伝子型について樹皮に含まれる苦味物質サリシンに対する反応性をカルシウムイメージング法により検討した。その結果、種間で反応性の違いがあることが明らかになった。またこの3種から1個体ずつのエクソーム配列を次世代シークエンサーMiSeqを用いて決定し、味覚受容体遺伝子を含む全ゲノムワイドでの塩基配列の種間差を明らかにした。 タンザニア共和国マハレ山塊国立公園において、アカオザル、アオザル、アカコロブスの糞を採取しDNAの抽出を試みた。 カリンズの調査対象種が採食している果実の堅さの計測を前年度に引き続き行った。その結果、前年度予備的な調査で明らかにしたのと同様、アカオザルが最も柔らかい果実を、ロエストザルが最も堅い果実を採食していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画調書に記載した日程で、ウガンダ共和国カリンズ森林、ならびにタンザニア共和国マハレ山塊国立公園での現地調査を行うことができた。その上で、当初予定していた行動学的資料や食物の堅さに関する資料を収集することができた。ただ果実の堅さの計測については、果実生産の季節性の問題もあり、完了していないので、次年度に引き継ぎたいと考えている。また形態学的解析については、これまで収集した資料の分析をほぼ予定通りに進めることができた。さらに、25・26年度に採取した資料をもとに行った遺伝学的解析も、当初の予想通りのペースで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの進捗状況は、ほぼ計画調書に記載した通りなので、今年度も計画調書に記載した予定通りに研究を進める。1点、進捗状況にも記載した通り、果実の堅さの計測については、前年度に完了しなかったので、今年度引き続き、計測を進める予定である。
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[Journal Article] Amino acid residues of bitter taste receptor TAS2R16 that determine sensitivity in primates to β-glycosides2016
Author(s)
H. Imai, N. Suzuki-Hashido, Y. Ishimaru, T. Sakurai, L. Yin, W. Pan, M. Ishiguro, K. Masuda, K. Abe, T. Misaka, and H. Hirai
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Journal Title
Biophysics and Physicobiology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Excretion patterns of solute and different-sized particle passage markers in foregut-fermenting proboscis monkey (Nasalis larvatus) do not indicate an adaptation for rumination2015
Author(s)
I Matsuda, J C M Sha, S Ortmann, A Schwarm, F Grandl, J Caton, W Jens, M Kreuzer, D Marlena, K B Hagen, M Clauss
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Journal Title
Physiol Behav
Volume: 149
Pages: 45-52
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Book] Mahale Chimpanzees: 50 Years of Reserach2015
Author(s)
M Nakamura, K Hosaka, N Itoh, K Zamma, H Ihobe, T Hayakawa, T Matsumoto, D Shimizu, Y Takahata, H Hayaki, M A Huffman, H Nishie, M Shimada, S Fujita, S Hanamura, E Inoue, M Kiyono, T Matusaka, T Sakamaki, H Hasegawa, T Kooriyama, N Kutsukake, L F Marchant, D Muramatsu
Total Pages
780
Publisher
Cambridge University Press