2013 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ被災地調査に基づく中・長期的原発事故後影響の予防医学的研究
Project/Area Number |
25257504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
木村 真三 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (50321849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 善憲 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20049240)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 予防医学 / チェルノブイリ / 原発事故 / 放射線被ばく / 健康影響 / 国際共同研究 |
Research Abstract |
ウクライナ国ジトーミル州ナロージチ地区において実施している住民の罹患率調査は、初期段階での目標100名に対し現在15名についての医療カルテ収集が終了。そのすべてについて、分類のための個人票作成、診断・罹患状況および検診・被ばく検査の実施状況等の翻訳が順調に行われている。診断・罹患状況はICD-10コードで分類し、次年度以降の量的解析に向けた準備段階である。また、同地区住民に対しホールボディーカウンターによる内部被ばく検査、放射性核種の摂取状況を調べるための食事調査(陰膳法)も継続的に実施しており、チェルノブイリ原発事故発生から27年が経過した現在でも、ウクライナ国内での基準値を大幅に超える内部被ばくがあることを確認した。特に、事故後に生まれた青年でも最大で55,000Bq/bodyなど、高い数値が見られ、本人に通知し個別指導を行った。食生活に関する聞き取りや食品ごとの放射能調査から、森林で採取した茸や果実等だけでなく、微量ではあるが小麦など主食からも放射性物質が確認されており、住民報告会、学会等での報告を行った。 一方、チェルノブイリ原発事故後の定住者と強制移住者の精神的ストレスについては、原発運転員の生活拠点であったプリピャチ市の元住民など、被災者の自助団体を通じてキエフ市内で聞き取りを行った。今後は精神健康調査など指標を用いた調査、日本国内での福島第一原発事故被災地域における状況との比較を計画しており、その準備段階として、調査票の翻訳や指標の選定等を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初段階として目標としていたカルテの収集等は、初年度分はすべて終了し、翻訳作業に入ることができた。特に、若年層では生後からの一連の記録を確認することができたため、放射線被ばくの長期的影響とそれ以外の健康影響について大きな示唆が得られることが予想される。次年度以降も同様にカルテの収集、翻訳作業を継続する予定である。内部被ばく調査、食事調査についても季節毎の食生活の特色などを正確につかむため、現地の四季にあわせて実施している。特に、食事全量に含まれる放射性物質だけでなく、1食分に使う食品ごとに分けて測定・分析を行った結果、主食等からの放射性物質の蓄積についても注意を払う必要があることが確認された。 こうしたウクライナでの調査結果については、福島第一原発事故対応として速やかに情報公開し予防医学のための科学的根拠とすることを目的としてきた。そのためウクライナ側共同研究者と合同での調査報告会を年1回予定している。初年度は市民公開講座として、福島県二本松市と共催で実施し、チェルノブイリ原発事故後の地域住民の生活等について報告するとともに、福島県内で生活する市民からの多数の質問に直接答えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
【①罹患率調査】医療カルテの収集と翻訳を継続的に実施し、ICD-10コードへの分類により、量的解析を計画通り実施することをめざす。ただし、現在ウクライナ国内はロシアとの緊張関係により政治的に不安定な地域が存在するため、共同研究者を通じて状況を逐次確認しながら実施する。H28年度までに地域住民の罹患の傾向について報告することを目標とする。 【②内部被ばく調査・食事調査】四季を通じた住民の内部被ばく量調査を計画的に実施し、その推移について、食事調査とあわせ、経口摂取による内部被ばくへの影響について正確に検討する。 食品毎の分析により、汚染の可能性の高い動植物の特定を季節ごとに詳細に行うとともに、被ばく予防対策について改めて周知と個別対応を行う。特に、チェルノブイリ原発事故後に生まれた世代について、職業や居住地、生活状況についての聞き取りも重点的に実施する。 【③精神的ストレスに関する調査】チェルノブイリ原発事故被災者の聞き取りについては、被災者自助団体・支援団体と協力しながら継続的に行う。翻訳・通訳に時間がかかるため、H28年度まで順次実施し報告する。また、調査票の翻訳や指標の選定等を実施中であり、精神健康調査など指標を用いた調査、日本国内での福島第一原発事故被災地域における状況との比較を適切な段階で行うことを目指す。
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Research Products
(10 results)