2013 Fiscal Year Annual Research Report
認知症の人のケア高度化に向けたマルチモーダル感情行動コーパスの構築
Project/Area Number |
25280038
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹林 洋一 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (10345803)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 茂良 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (00109018)
堀内 裕晃 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (40221569)
桐山 伸也 静岡大学, 情報学研究科, 准教授 (20345804)
石川 翔吾 静岡大学, 情報学研究科, 助教 (00626608)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知症 / コーパス / 感情行動モデル / 知識映像コンテンツ / データベースシステム / コミュニケーション / コミュニティ |
Research Abstract |
認知症ケア高度化に向け,介護・医療・研究での複数の知見を関連付けて認知症の行動心理症状(BPSD)知識モデルを表現し,現場の介護者・看護者が知識を利用する知識創造サイクルを実現した. 専門家の知識を入力するために,石黒秀喜氏,伊東美緒氏,イブ・ジネスト氏,上野秀樹氏,加藤忠相氏,田中とも江氏,玉井顯氏,本田美和子氏,盛真知子氏などの高齢者ケアにかかわる多種多様な専門家との連携関係を構築し,マルチモーダル感情行動コーパスVer.1を設計した.認知症ケアにおいて本人の情報をどのように収集し活用するかが重要であるため,連携研究者の玉井らが開発した行動観察方式及び脳機能評価バッテリーをツール化し,認知症の人の状況を表現するための情報システムに発展させている.また,高齢者は認知機能が低下していることから環境や薬物が誘引となって精神症状を呈することがあり,連携研究者上野医師のカルテ情報を活用したコーパス化を進めており,薬物による影響が大きいことが分かってきた. また,認知症知識モデルを現場に還元するために,専門家の顔の見える映像を基軸とした知識映像コンテンツを作成し認知症アシストフォーラム(https://ninchisho-assist.jp/)で継続的に提供している.本フォーラムは中日新聞全国版,日本経済新聞で報道発表された.2014年4月現在延べ332名の会員数を獲得しており,今後も報道発表や本サイトを通じたサービス提供を行っていくことから,継続的に増加する見通しが得られている.コーパスの構造を利用したコンテンツの生成技術を開発し,意味ネットワークによる表現によってコンテンツの関係性を可視化した知識映像コンテンツを開発し,有効性を確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となるマルチモーダル感情行動コーパスのVer.1を構築し,コーパスを深化成長するための枠組みを実践している.専門家と現場の両輪でコーパスを深化させていく枠組みが特徴であり,多彩な専門家との協力関係を構築し,開発したWebサービスから現場の賛同者も増加しており,今後も継続的にコーパスを発展させていくことが可能である.専門家と高齢者のコメントを結集させるために,Webツールを活用したカンファレンスシステムを開発し,共同研究者と知識構造に関する議論を実施している.また,認知症の人に対して一方的に与えるというニュアンスが含まれるケアではなく,コミュニケーションという観点で捉えることが重要であることが分かってきた.このことから,BPSDの表現には,コミュニケーションという情報学的な観点からの表現が基礎となることが見出され,ケアという視点を超えた表現方法の設計に発展することができた. 適切なケアを行うための行動観察方式及び脳機能評価バッテリーを活用し,認知症の人の状況を蓄積,表現するための情報端末の開発を実施,連携する医療機関での有効性が確認されている.本成果は認知症の人にかかわるパーソナル情報の利活用における基礎データとなる. 認知症アシストフォーラムを運営し継続的にBPSDに関する知識を提供している.継続して会員数を獲得できることが見込まれ,本サイトを通してコーパスの有効性を検証するための環境が整った.また,5年以内に社会的なアウトカムを目指す人工知能学会近未来チャレンジへの提案「認知症の人の情動理解基盤技術とコミュニケーション支援への応用」,及びチャレンジへのサバイバルに発展しており,人工知能の立場からの賛同者も増加できる見通しが得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,認知症の人の行動・心理症状(BPSD)を表現するために,革新的な認知症ケアメソッドユマニチュードに重点化して研究を実施する.本ケア技法に着目して実施することにより,認知症の人の回復を目指すための新たな知見が本研究から生み出されることが期待される.この方向性には,既に連携関係を構築していた専門家も同意しており,同じ方向性で継続的に研究を実施することが可能である.ユマニチュードの研究協力者である本田美和子医師はユマニチュード日本支部長であり,所属する東京医療センターでの映像の収録を既に開始しており,そのデータを本研究で活用することができる. また,ユマニチュードのケアの基本技法は,「見る,話す,触れる」であるため,狙ったポイントをセンシングすることで,BPSDの多角的な情報に照らした可視化の実現が可能である.そこで,映像と組み合わせて各種センサを紐付けて蓄積,分析するためのコーパス分析システムを開発する. さらに,コーパス分析システムと連動して,Webカンファレンスシステムを認知症アシストフォーラム上から公開し,特定の専門家同士のカンファレンスによるコーパスの深化成長を実現する.システムVer.1を開発しており,今年度スムーズに実施できる見通しを得ている.
|
Research Products
(15 results)