2014 Fiscal Year Annual Research Report
感性計測による着衣快適感のメカニズム解明と評価に関する研究
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25280099
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上條 正義 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (70224665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀場 洋輔 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (00345761)
吉田 宏昭 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (40456497)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 着心地 / 心理生理反応 / 快適感 / 感性計測 / 接触感評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
・接触快適感評価:肌触りにおける接触ストレスを生理反応から評価する方法として、心電図から得られるRTI(RとT波の間隔)が、これまで一般的に用いられるRRI(R波とR波との間隔)よりもバラツキが小さいことから、感度よく布地表面の滑らかさに関わる接触ストレス評価ができることを示した。 ・被服圧刺激評価:ウエストベルトによる腹部圧迫における閉眼状態での評価と開眼状態での評価について閉眼状態での時間経過に伴う脳波のθ波の増加および心理反応の覚醒感の結果から閉眼状態での評価は覚醒が低下しやすいことがわかった。自律神経活動については閉眼状態では腹部圧迫による刺激が交感神経活動に作用するのに対し、開眼状態では副交感神経に作用した。快適感評価においてホメオスタシスの観点から定常時からの変動をストレスと捉えるという知見を得た。 ・ふかふか感評価:厚みのある綿タオルを試料として、手で押し込んだときのふかふか感と言われる接触快適感を評価するために3軸力覚センサを用いる方法について検討した。ふかふか感は試料に物体を衝突させた際の衝撃吸収性と対応関係があると仮定し、力覚センサをタオル試料に落下させた際のセンサに加わる力からふかふか感を推定する装置を試作し検証実験を行った。落下による衝撃値の大きさ(第1ピーク値-第2ピーク値)がふかふか感を評価する指標となる可能性を得た。 ・温熱快適な肌着の開発:ポリプロピレン(PP)とポリエステル(CDPET)、綿、毛、ポリウレタン(Pu)をそれぞれ混紡したPP混紡編布による肌着を作製し、着衣状態で生理反応(心電図・呼吸・末梢血流量・皮膚平均温度・平均衣服内温湿度)と心理反応を計測して温熱快適感を評価した。PP/CDPET/Pu混紡編布は汗冷えを防ぐ効果が高く、肌触りが良いため、肌寒く発汗をともなう場合の着用に適し、肌寒い環境では安静時においても快適であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着心地に影響を与える3つの要因:衣服圧、衣服内気候、肌触り接触特性における刺激の物理量と心理・生理指標との関係から被服が人に与える健康学的なポジティブ影響、ネガティブ影響を明らかにすることが、本研究の目標である。これを実現するために本研究では着心地の中でも接触快適感と被服圧迫感の評価について着目している。研究期間の3カ年で、以下の項目を実施することを目的としている。(1)快適感が得られると考えられるサンプルを作製し、そのサンプルの仕様に基づく物理刺激および着衣によるネガティブ/ポジティブ影響を心理生理反応および行動の計測から評価する。(2)被服が人体に与える接触刺激を評価するための計測評価システムを開発するための基礎技術を確立する。本年度は、(1)については、接触快適感を心電図から評価する指標としてRTIが有効であることやPPを肌着の素材として用いることが快適感につながることを明らかにした。(2)については、被服圧迫に伴う心身反応を測定することによって、脳波の徐波化や副交感神経活動の亢進が行われることを明らかにした。ふかふかしたタオルに落下した加速度センサの振動減衰にふかふか感を評価できる可能性を見出した。以上から、年度当初計画した内容についてはほぼ実施できたと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた生理指標からの接触快適感や圧迫感評価、ふかふか感のような接触快適感を材料特性から評価するための評価装置の開発、着衣快適感が得られる肌着の開発を今後も継続して研究し、製品の開発にも関与する。タオル生地の場合には、生地に厚みがあることからふかふかといった印象が発現するが、厚い生地についての材料特性を評価するシステムとして有用なものは世界において希薄なため、本研究において3次元力覚センサを用いた評価システムの開発を目指す。肌着用生地については、衣服形状とした際の着心地評価について検討する。生地における評価実験の成果から肌着として効果がありそうな生地を選定し、その生地から肌着を試作し、着衣による着心地評価実験を行う。着心地評価では、衣服内の温湿度の測定、肌触りの印象評価、心電図などの生理反応を計測することによって着衣ストレスを評価する。
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Research Products
(9 results)