2014 Fiscal Year Annual Research Report
器用な手操作のためのアーカイブとインストラクション法の提案と検証
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25280125
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
橋本 洋志 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (60208460)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 器用な手操作 / インストラクション法 / アーカイブ法 / デジタルハンド / 実時間操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の手が、器用に道具を操作するとき、手の動きの状態遷移と操られている道具、この二つの相互関係を考究する.本研究の目的は、この相互関係の特徴を明らかにしたアーカイブを作成し、これを基に個人に適する器用な手操作のインストラクション法を提案し、実証実験を通して、本方法の有効性を検証することにある.このため、次の項目を実施した. (1)相互関係のアーカイブ法: 操作する道具の使用例の分類と操作者の手操作データを取得し、この特徴量を抽出した.特徴量は記号法で手姿勢の遷移状態を表現するためのものである.また、手の力分布情報を同時にハイパーテキストの形で保存することとした.さらに、キーワード(データベースのタグに相当)として、道具名、操作名、サンプリング時間などを付帯した形のアーカイブ法を提案し、そのプロトタイプを構築した.この作業を通じて、手操作は、使用道具、使用目的に依存することは当然であるが、体姿勢とも強い相関性があることを明らかにした. (2)ADPを用いたシミュレーションに基づくインストラクション:ADPは従来データグローブを用いていたが、これは手の表面を覆うものであり、器用な動作を一部阻害するものであり、正しい器用な動作の再現およびインストラクションに困難が生じていた.このため、本年度は、非接触型のLEAP Motion Sensorを導入し、これに合せたADPを再構築し、このADPに基づくシミュレーションを実施した.この結果、従来のデータグローブ型よりも手操作がスムーズになり、このため、インストラクションがよりスムーズに行えることがわかった. (3)実操作におけるインストラクション検証:前述までの成果により、実時間での器用な手操作、および、スムーズなインストラクションが行えるようになり、このデータを取得できる環境を整えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時で述べた目的を実現するための項目は、上記の研究実績で述べた三つの項目に集約され、これらを実施した.ここで述べたように、(1)について順調な進捗といえる.(2)について、手の姿勢センサの技術的進展により、研究申請時よりも、器用な手操作をより阻害しないものが容易に入手できるようになった.このセンサを用いてADPを作り直した工程を経たことで、(2)に関する若干の研究進捗の遅滞があった.しかし、新たなADPは、よりスムーズな検証実験を可能としており、かなりの研究進捗の挽回を得た.(3)について、(2)の若干の遅滞の影響を受けたが、現場での様々なシーンにおける検証実験を幾つかこなすことができ、その知見を集積が行えている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績で述べた三つの項目を進める.(1)、(2)については、随時、実験装置、方法論、その知見の整理の仕方などを随時見直して、必要に応じて、改善を図る.特に、来年度は研究の最終年度となるため、(3)の実操作におけるインストラクション検証に重点を置く.現在、計画していることは、道具や機器の操作時における手姿勢と身体動作との関連性に注目した実験である.例えば、ペン回しでは、身体そのものは静止していることが多いが、腕の角度、視点と手先との位置関係は、手操作に影響を与える.この関係性のモデル化を図る.また、手で操作する機器、例えば、電動車などは、移動の直進、回転、反転、停止などの状態に応じて、手操作と腕、そして、身体姿勢と相互関係がある.これらの相互関係の表現法について深く考察する予定である.
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Causes of Carryover |
物品費、旅費などの見積もりと現実の支出に若干の違いが生じたために、次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度分に繰り入れて、適性、かつ、有効に使用する.
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