2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機性廃棄物からの窒素回収及びアンモニア阻害を抑制可能な乾式メタン発酵法の実現
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25281046
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
張 振亜 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20272156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和哉 東洋大学, 生命科学部, 講師 (10581613)
雷 中方 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30634505)
楊 英男 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50561007)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマスエネルギー / 有用資源回収 / アンモニア発酵 / 乾式メタン発酵 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究では、リアクタ内部のアンモニアを除去する方法として吸着剤を用いたアンモニア吸着除去法とアンモニアストリッピング法を用いて、リアクタ内部のアンモニア濃度を低下させ、高窒素含有畜産廃棄物のバイオガス生産性の向上を目指すものである。 まずは、Wheat-Rice-Stone(WRS)を、1 Lの発酵液に対し50 g、アンモニア濃度5145 mg- N/L のメタン発酵ではメタン収率が142.7 mL/g-VS、コントロール(WRS無添加)では82.82 mL/g-VS得られ、メタン生産性が72 %向上した。メタン生成スタートアップ時間はそれぞれ20日と40日であり、メタン生成スタートアップ時間が20日間短縮された。pHのアンモニアストリッピングへの影響やストリッピング後の乾式メタン発酵の生産性について調べた結果、pHは10.2の場合、最もアンモニアストリッピングの効率が高く、アンモニアの除去率は90.1 %に達成したことに対し、pH8.8の場合、85.0 %のアンモニアが除去された。 ゼオライトのアンモニア吸着性能について、初期アンモニア濃度5000 mg L-1の条件で実験を行い、アンモニアの吸着容量が78.83 mg g-1であり、吸着動力学的解析を行った。また、アンモニア固定床材料としてナイロン製ネットでゼオライトを包んだものを中温メタン発酵リアクタ上部から吊して添加し、ゼオライト添加なしのコントロール実験と比較した。33日間、35 ℃の回分式メタン発酵では、コントロールの場合はメタン収率146.4 mL g-1-VS、スタートアップ時間20日であるのに対し、固定床発酵槽の場合はメタン収率が354.2 mL g-1-VSに達し、スタートアップ時間13日であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では26年度、高い窒素含有量の畜産糞尿や汚水処理所などの汚泥からアンモニア発酵、アンモニア回収、さらにアンモニア回収された後の残渣のバイオガス生産の技術研究開発を主にしましたが、現在ほぼ完了した。これからコストの面および環境の面の技術総合評価を27年度の主要研究内容として展開し、今までの蓄積したデータの解析や特許取得なども、今年度の研究内容とする。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果に基づき、WRS吸着除去法とストリッピング法は高窒素含有豚ぷんメタン発酵の生産性向上に有効であることが示された。また本研究では、WRS吸着法での高いアンモニア濃度の場合のメタン発酵の促進メカニズムについて、初めて解明をした。さらに、アンモニアストリッピング法においては、豚ぷんからのアンモニアの回収や乾式メタン発酵の促進効果について検証した。WRS法とアンモニアストリッピング法を比較すると、効率は後者がはるかに高いものの、前者は特殊な装置を必要としないことから、コストが極めて小さい。 そこで、WRS吸着除去法とストリッピング法に対し、材質やそのコストなどを検討し、アンモニア回収システムの実用化を想定して、ランニングコスト、環境負荷、エネルギー消耗などの多角度から、環境経済や環境総合評価の専門家などの見識を取り入れながら、今年度の研究を推進したい。
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Research Products
(3 results)