2013 Fiscal Year Annual Research Report
逆電気透析発電システム用モノリシック発電セルの開発
Project/Area Number |
25281064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
比嘉 充 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30241251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 宣隆 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40314819)
垣花 百合子 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (90592014)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 濃度差エネルギー / ポリビニルアルコール / ブロック共重合体 / イオン交換膜 / イオン交換容量 / 膜抵抗 / イオン選択性 |
Research Abstract |
逆電気透析(RED)発電セルには高イオン選択性、低電気抵抗、高い機械的強度、さらに高い耐環境汚染性が要求される。そこで本年度では親水性及び結晶性ポリマーで機械的強度が高いポリビニルアルコール(PVA)と陰イオン交換基、および陽イオン交換基を有するモノマーからPVAブロック共重合体ポリカチオン、およびPVAブロック共重合体ポリアニオンを合成した。そしてこれらのブロック共重合体の水溶液をアクリル板上にキャストして製膜し、グルタルアルデヒド(GA)で架橋することでPVA系RED用陰イオン交換層(P層)、陽イオン交換層(N層)を作製した。 作製したP層、N層のイオン交換容量を測定した結果、この値は重合時のPVAと荷電モノマーとの組成比に依存したことから、この組成比を変えることで、P層、N層のイオン交換容量が制御できることが判明した。またこの荷電層の含水率は、この組成比とGA架橋濃度に依存し、37%~44%となった。この荷電層の膜抵抗を0.5M NaClと2つの白金電極で構成される膜抵抗装置を用いた測定の結果、2.9~7.0Ωcm2を示し、市販イオン交換膜とほぼ同等の値を示した。また0.5M NaClを使用した電気透析装置で測定した動的輸率はN層が0.96前後、P層が0.98を示し、市販イオン交換膜と同等の値を示した。さらに濃度差5倍のKCl水溶液で構成される拡散透析系におけるこの荷電層の膜電位を測定し、この値からイオン選択性の指標となる有効荷電密度を算出すると、1.0~1.3 mol/dm3の値となった。この荷電層の膜抵抗と有効荷電密度はトレードオフの関係を有し、低GA架橋濃度において、低膜抵抗、低荷電密度となり、高GA架橋濃度で、高膜抵抗、高荷電密度を示した。 得られた結果より、作製したPVA系P層、N層は市販イオン交換膜とほぼ等しいRED発電性能を示すことが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度合成したPVAブロック共重合体ポリカチオン、およびPVAブロック共重合体ポリアニオンを使用して作製したPVA系RED用P層、N層は、市販イオン交換膜とほぼ同等の膜抵抗、輸率を示したことから、本研究の目的をほぼ達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したPVA系P層、N層は市販イオン交換膜を使用してRED用発電セルを構築し、その発電性能を評価する。 またRED発電性能を高めるために、荷電モノマー組成及び架橋条件を最適化することで、より低膜抵抗のP層、N層の作製を行う。 RED発電セルの溶液流路において、濃度分極による発電性能の低下が少ない流路構造を検討する。 PVA系P層、N層における膜汚染性の評価を行い、耐膜汚染性に優れた発電セルの作製をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は主にRED用発電セルにおけるPVA系正荷電層(P層)と負荷電層(N層)の作製とその特性評価を行った。次年度においてはこの荷電層を用いたRED発電実験、膜汚染実験、および大型のED装置を改良したRED装置において、RED発電実験とその解析を行う予定である。そのため多くの試薬や、市販イオン交換膜が必要となることが予測されるためである。 本年度に引き続き、より高性能なPVA系P層、N層の開発を行う。そして次年度においてはこの荷電層を用いたRED発電実験、膜汚染実験、および大型のED装置を改良したRED装置において、RED発電実験とその解析を行う予定である。
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Research Products
(25 results)