2013 Fiscal Year Annual Research Report
視覚文化におけるデザイン資源の総合的分析:デザイン学研究方法論の構築をめざして
Project/Area Number |
25282002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
井口 壽乃 埼玉大学, 教養学部, 教授 (00305814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 久裕 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (20193633)
山本 政幸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (80304145)
井田 靖子 (菅 靖子) 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (20312910)
暮沢 剛巳 東京工科大学, デザイン学部, 准教授 (80591007)
児玉 幸子 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (10323883)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | デザイン資源 / デザインアーカイブ / デザインミュージアム / ICOGRADA / デジタル技術 / 知的財産権 / タイポグラフィ / ピクトグラム |
Research Abstract |
研究初年度である本年度は、デザイン資源を収集・保存している国内外のデザイン・ミュージアムおよびデザイン・アーアイヴを調査し、戦後のヴィジュアル・コミュニケーション理論に関する研究を中心に行った。 1)戦後ドイツのデザイン教育機関Ulm造形大学の資料館のオトル・アイヒャーを中心としたヴィジュアル・コミュニケーション教育関係の資料収集と機関誌『ulm』の購入し、ulmの活動とそのデザイン思想について分析した。2)英国ブライトン大学内デザイン・アーカイブにおいて、戦後の国際的なグラフィック・デザインの組織ICOGRADAに関する資料調査を実施した。3)国内ではDNP文化財団のグラフィック・デザイン・アーカイブ(福島)の田中一光に関する資料、PAM特種製紙総合技術研究所(三島)の原弘に関する資料を調査した。それぞれの資料館の収蔵と保存・活用についても現状と問題点について、アーカイヴィストと意見交換を行った。4)ファッション・広告のメディアの事例として『ハーパース・バザー』誌を購入し、写真と雑誌の編集が視覚文化形成との関連について、分析を行った。5)デザインの制度をめぐる問題について、デザインミュージアムの現状調査を行った。(分担者:暮沢剛巳)6)モダンデザインの教育について、「ライマンシューレ」を中心に研究を行った。(分担者:菅靖子)7)デジタル技術を用いたデバイスの開発を実施し、研究成果を展覧会の開催を通じて、広く国内外に公表した。(分担者:児玉幸子)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に予定された調査・資料収集は概ね実施できた。国内のデザイン・アーカイブ、およびブライトン大学のICOGRADAアーカイヴの調査の過程で、アーカイビストの協力を得ることができ、平成26年度は「デザイン資源の現状と課題」をテーマとした国際シンポジウム開催に向けた具体的な計画立案の可能性が広がった。国内の企業の研究所、財団からも、多くの新情報が発見された。一方、資料収集の進捗状況は良好だが、それらの新たに発見された新情報は広範囲にわたり、情報の整理と分析に時間がかかり、未整理なものも多い。新情報をどのように関連づけ、系統立てていくかが今後の課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、初年度に収集した資料の整理と分析をすすめる。ICOGRADAの歴史を再評価し、アメリカ、ヨーロッパと日本の国際的なグラフィック・デザインの組織化とその活動の拡大に関して、過去の主要な国際展の検証を行う。 ブライトン大学のICOGRADAアーカイブの協力を得て、「デザイン資源の現状と課題」をテーマとした国際シンポジウムを12月に開催する予定である。シンポジウムでは、武蔵野美術大学図書館・美術館、国内のDNP文化財団およびPAM特種製紙総合研究所からも協力を仰ぐ。シンポジウムの成果は、日本デザイン学会の会誌に特集号『デザイン資源』を編集し、国内の研究者へ広く公表する。 さらに、調査の過程で歴史的グラフィック・デザイン作品の著作権の問題が明確になってきたことから、著作権・著作権料の現状についても、調査の必要性が浮上してきた。さらにメディア・アートの作品と発想に関わる知的財産権について、議論を深化すべき課題が浮びあがってきた。これらの課題についての議論を深めるワークショップを開催する。 平成28年度は、「イメージの引用:デザイン資源の可能性」をテーマとした展覧会を多摩美術大学美術館にて開催し、カタログの刊行によって、「デザイン資源」研究成果を広く一般へ還元することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に、研究代表者と分担者による意見交換のためのワークショップを開催する計画をしていたが、日程が調整できず未開催となり、ワークショップ開催のための旅費(福岡=東京、岐阜=東京)は、平成26年度5月の研究打ち合わせの旅費とした。また国内外の調査先の都合により、当初計画していた調査(旅費)を平成26年度の計画へと変更したため。 前年度の残金(旅費)は、平成26年5月に研究代表者と分担者による研究打ち合わせの会合のための旅費、および、国外調査(英国、ドイツ)に使用を計画している。
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Research Products
(10 results)