2013 Fiscal Year Annual Research Report
理科授業を通して学び続ける教師教育プログラムの開発に関する実証的研究
Project/Area Number |
25282032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
益田 裕充 群馬大学, 教育学部, 教授 (30511505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 信也 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (90110733)
片平 克弘 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (70214327)
久保田 善彦 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (90432103)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 理科授業 / 教師教育 / 学習共同体 |
Research Abstract |
理科授業をVTR録画し資料収集した。収集した理科授業は全国に及ぶものとなり、これらの授業は新任者と熟達者の授業に分類できた。さらに、収集したすべての理科授業のプロトコルを起こし記録した。収集した授業は、「同一の授業者が同一校の同一学年で何度も繰り返し授業を行い授業を深化させていく過程」であったり、「同じ学習内容・観察・実験の授業を新任者と熟達者がそれぞれ行った授業」であったり、「授業者が自ら授業を実践するために他校の授業(新任者及び熟達者)を参観した後に授業を展開するプログラム」であったりした。収集した授業は、まさに理科授業を通して学び続ける教師教育プログラムの開発について基礎的な資料となりうるものとなった。研究はこれらの授業分析へと発展させた。同時に、教員のライフステージから教師教育プログラムを検討する研究を並行して行い、「教育実習における指導案の改善プロセス」や「デザイン実験アプローチを援用した教員養成系学部の理科指導法の改善についての実証的研究」、「熟達した授業者の支援的な介入研究」としてもその成果をあげることができた。特に、熟達者の支援的な介入としてコーチングに着目し、机間指導中の教師の支援としてのコーチングの出現とその有効性を自己調整学習の観点から検証し学会論文に掲載決定することができた。机間指導中の熟達者の支援にはコーチングに基づく支援が存在した。その支援によって子どもは自己の学習をメタ認知的にモニタリングし、自らの考えをより精緻に表現することができるようになることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国規模で理科授業をVTR録画し資料収集できた。その後プロトコル等を起こし新任者及び熟達者の授業分析を開始できた。さらに、教員のライフステージに応じた理科授業をめぐる資質・能力の実態から教師教育プログラムの具体的な検証に着手できたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、教員のライフステージと理科授業における教員の資質・能力の関係をさらに具体的かつ体系的に実証することが研究の柱となる。第一に、現職教員になる前の学生を対象とした理科授業を省察する能力を、その手法を開発しながら実証する。教員養成系大学における模擬授業とリフレクションを通した理科授業を省察する能力を実証する。さらに、教育実習を通した理科授業を省察する能力の育成を、その手法の開発とともに実証する。第二に、学習内容等を同一にした新任者と熟達者の理科授業を抽出し、両者を比較して、その授業を比較し教師の資質・能力の向上を検証する。第三に、熟達者は「いかに」「どのようなことをきっかけに」授業を変容させていくのか。熟達者としての省察の実態を実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の対象とした授業収集は研究協力者の授業に限定せず教育委員会等の行政機関の協力を得て幅広く行うことができた。しかし、年度当初計画よりも収集対象が広域にわたり、かつ1名の授業者の授業を何度も繰り返し収集できるなど、教師が多様な授業の経験を積む過程を記録することができ、収集した資料は研究資料としての価値を高めることができたのであるが、そのため授業収集にも期間を必要とした。さらに、すべてのプロトコルを起こし研究者間で共有することにも期間を必要とした。このため授業分析によるさらなる検証が必要となり次年度使用額が生じた。 研究をさらに加速するため研究分担者2名を追加した。4月・5月:新任者と熟達者の授業分析を比較検討することにより教員の資質・能力を具体的にする。6月:教員のライフステージと授業力の関係を検討する。7月:学会全国大会における課題研究に取り組むことによって研究者間で研究成果を焦点化する。以後は計画通りの展開とする。これらの過程で「問題解決の過程」等を契機にした協議を行うなど、プログラム開発の観点がさらに焦点化できるよう分析方法を研究協力者間で共有できるようにする。
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Research Products
(8 results)