2013 Fiscal Year Annual Research Report
津波来襲が予測される海岸利用者の防災意識と安全避難に関する研究
Project/Area Number |
25282107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
石垣 泰輔 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70144392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 広昭 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20067763)
武藤 裕則 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40263157)
馬場 康之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30283675)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南海トラフ地震 / 津波避難 / 海岸利用者 |
Research Abstract |
(1)海水浴場の津波対策・避難計画のレビュー:対象とした和歌山県、三重県、高知県では、2012年8月の内閣府発表内容を検討している時期であったため、海水浴場の存在する白浜町、志摩市、香南市を対象に津波対策・避難計画について資料調査を行ったが県との調整が終わっていないため、再度ヒアリングが必要である。 (2)海水浴場利用者の津波防災意識調査および分析:2013年8月2日に和歌山県の白良浜海水浴場の利用者360人を対象にアンケート調査を実施した。東日本大震災以前の2006年8月調査(318人)および震災直後の2011年8月調査(329人)の結果と比較して津波防災意識の変化を検討した。その結果、震災直後には防災意識の高まりはあったが、2年後の2013年の調査では震災前の2006年の結果と同様の意識レベルに低下していたことが知れた。結果をまとめ土木学会論文集B3(海洋開発)に投稿中である。また、2013年8月4日に高知県のヤシーパーク海水浴場の利用者(205人)を対象のアンケート調査を実施した。2010年7月調査結果(223人)と比較したところ、白良浜と同様に震災前と同様の防災意識となっていて経年低下が確認された。 (3)避難訓練のビデオ撮影および参加者の行動分析:2013年8月4日に三重県の阿児の松原海水浴場で実施された避難訓練のビデオ撮影を行った。また、行動分析の参考とするため、8月10日に和歌山県白浜町で実施された花火大会での群衆行動の撮影を行った。避難訓練撮影ビデオを用い、海中、砂浜、護岸から避難する人の歩行速度を運動解析ソフトを用いて求めた。その結果を用い、避難行動シミュレーションに用いる歩行速度データを得た。これらのデータを用い、阿児の松原海水浴場を対象に、津波来襲時の避難行動シミュレーションを行い、その結果をまとめ、土木学会論文集B2(海岸工学)に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)海水浴場の津波対策・避難計画のレビュー:和歌山県白良町および三重県志摩市にヒアリングした結果、県が実施する対策が確定した後にまとめるという段階であったため、調査を次年度に実施することとしたため、当初計画には至らなかった。 (2)海水浴場利用者の津波防災意識調査および分析:当初は、大阪府、高知県、和歌山県の海水浴場を対象とする予定であったが、高知県のヤシーパークおよび和歌山県の白良浜の2箇所となった。分析の目的が、東日本大震災前後の津波意識の変化を分析することであり、震災前の既存データのある海水浴場に限定することとした。大阪府については、26年度に実施する。 (3)避難訓練のビデオ撮影および参加者の行動分析:計画とおり、三重県志摩市の阿児の松原海水浴場で2013年8月4日に実施された避難訓練を撮影でき、参加者の歩行速度等の行動分析を実施した。その結果を、避難行動シミュレーションに適用できたことは計画以上の進展であった。 以上のように、計画以上の進展もあって2編の査読付き論文を投稿できたが、不十分な点もあったため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度の成果を活用するとともに、以下のように研究を進めて行く。 (1)海水浴場の津波対策・避難計画のレビュー:海水浴場の管理者を対象にアンカーと調査を行い、東日本大震災前の2007年調査データと比較検討する。 (2)海水浴場利用者の津波防災意識調査および分析:前年度の実施できなかった大阪府の海水浴場、三重県の海水浴場および徳島県か兵庫県の海水浴場を対象とした津波防災意識調査を実施し、結果の分析を行う。 (3)津波来襲時の避難行動シミュレーション:阿児の松原海水浴場を対象とした避難行動シミュレーションモデルを、白良浜海水浴場に適用し、早期安全避難に関する検討を行う。 (4)浸水解析及び避難困難度指標の適用:避難行動解析を行う区域に浸水した場合の解析を行い、従来の成果として得られている水深と流速から得られる単位幅比力を避難困難度指標とし、その適用方法について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が、平成25年5月19日から9月18日の間、在外研究のために国外にいたため、その間の旅費、謝金の使用ができなかった額を次年度使用額として繰り越した。また、他大学の2名の研究分担者も、研究代表者との共同現地調査が実施出来なかった額を次年度使用額に繰り越した。なお、代表者と同機関の研究分担者は、物品費の残額を次年度使用額として繰り越した。 研究代表者の次年度使用額252774円は、旅費に50000円、調査・解析の謝金等に200000円、物品費に2774円を加算して使用する。他大学の2名の研究分担者の次年度使用額50000は、旅費に加算して使用する。代表者と同機関の研究分担者の次年度使用額11455円は、物品費に加算して使用する。
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