2014 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘発性筋・筋膜性疼痛の神経機構解明とその治療
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25282160
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田口 徹 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (90464156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ストレス / 筋・筋膜 / 痛み / 神経機構 / 理学療法 / 線維筋痛症 / 侵害受容器 / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
肩こりや腰痛などの筋・筋膜性疼痛や線維筋痛症は慢性難治性であり、医学的・社会的に重要度が高く、その発症や増悪にはストレスが深く関わるが、メカニズムは不明な点が多い。本年度はその発症や増悪にストレスが深く関与すると考えられる線維筋痛症の動物モデルを用い、その痛みの末梢神経・脊髄機構の解明をさらに進め、新しい知見を得た。1)後根神経節で発現増大がみられた酸感受性イオンチャネルASIC3の選択的阻害剤投与により、痛覚過敏行動が改善した。2)ミノサイクリンの反復投与で活性化ミクログリアが抑制され、痛覚過敏の発症が抑制された。これらの結果は、末梢ではASIC3チャネルが、また、脊髄では活性化ミクログリアが線維筋痛症モデルにおける機械痛覚過敏に重要な役割を果たすことを示している。これらの新しい知見を昨年までの研究成果に加え、論文発表を行った。 また、繰り返し寒冷ストレスや複合持続ストレス負荷によって生じる機械痛覚過敏の末梢神経機構を体系的に調べた。前者では骨格筋の痛覚受容に関わるC線維侵害受容器の機械反応が有意に増大していたが、後者では全く変化がみられなかった。このことよりストレス誘発性筋・筋膜性疼痛は末梢神経機構の関与するものと関与しないものがあると考えられ、その痛みには異なるメカニズムが存在することが示唆された。 また、in vivo電気生理実験のセットアップを立ち上げ、骨格筋非活動性侵害受容器を同定することができた。今後はサンプル数を増やし、骨格筋細径線維受容器の新しい分類法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度 (2年目)は研究成果の一部を論文にすることができた。 また、繰り返し寒冷ストレスモデル、および複合持続ストレスモデルを導入し、その痛覚過敏における骨格筋C線維侵害受容器の関与の有無を明らかにすることができ、いくつかの学会で発表を予定している。 また、骨格筋非活動性侵害受容器同定のためのin vivo電気生理実験のセットアップが立ち上がり、骨格筋非活動性侵害受容器の存在を実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は平成26年度に明らかにした繰り返し寒冷ストレスモデルにおける機械痛覚過敏の末梢神経機構に関わる物質的基盤を明らかにする。また、ストレス誘発性筋・筋膜性疼痛モデルに対し、運動療法や物理療法などの処置を行い、疼痛改善効果を検証し、理学療法効果を検討する。 骨格筋非活動性侵害受容器に関しては、今後サンプル数を増やし、骨格筋細径線維受容器の新しい分類法の確立を目指す。また、骨格筋非活動性侵害受容器の病態時における役割や活性化機構(因子)の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は非常勤研究員1名を研究補助員(パートタイム)として雇用したが、自己都合により退職したため、使用予定額に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに本研究に参画する研究補助員(パートタイム)を探す予定である。労働時間の延長等により、フルタイムの勤務体系を計画しているため、残りの期間で当初の計画通り進める予定である。
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Research Products
(35 results)