2014 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルスの潜伏感染の原因となる膜タンパク質LMP1の構造と機能相関の解明
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25282230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 豪 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20263204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安居 輝人 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60283074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 潜伏感染 / EBウィルス / 膜タンパク質 / X線構造解析 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ腫、ホジキン病、上咽頭がん、胃がんなど種々の悪性腫瘍や自己免疫疾患を引き起こすことが知られるEpstein-Barr(EB)ウイルスは、Bリンパ球に「潜伏感染」するヘルペスウイルスであり、その「潜伏感染」の原因の1つである膜タンパク質LMP1に焦点をあてた創薬は急務の課題であり、本研究課題では、感染したBリンパ球の不死化機構、および増殖のシグナル伝達の分子機構に深く関わる膜タンパク質LMP1の構造をⅩ線回折法で明らかとすることを目的として、全長およびC末端ドメインの結晶学的研究に取り組んだ。 全長のLMP1の発現および精製法は確立できたものの、大量の高純度サンプルを必要とする結晶化にはまだ不向きであり、C末端ドメインの結晶化に注力した。その結果、微結晶が得られ、創薬標的のⅩ線構造解析に向け大きな進展が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)LMP1のfull lengthの発現・精製については、大腸菌、酵母、Sf9昆虫細胞といった多種多様な発現系や様々な界面活性剤を用いることによって発現、可溶化、及び精製を試みた。酵母と昆虫細胞において発現が見られ、さらに酵母では可溶化、ならびに大量精製を行うことに成功したが、量がとれない上に、SDS-PAGEの結果としては37 kDa付近に主なバンドが2つ存在し、原因を解明中である。一方、LMP1の新しい発現系(Cre/loxPシステム)を用いて目的タンパク質の発現・精製を試みた。少量ながら得られた精製タンパクは非常によい活性を示した。 (2)平成26年度はCTAR1(LMP1CPD)の大量精製および結晶化に注力した。LMP1CPDの高純度精製法を見直し、HisTrapを用いたカラムクロマトグラフィーの溶出法を変え、収量を倍増させた。また、モノマーとダイマーの存在も確認し、C238sの変異体を作製することでモノマー化に成功し、精製法を確立した。1回の精製あたり10~30μLのサンプルではあるものの、22~25%PEG3350を用いた条件で微結晶も得られ、回折実験を試みている。 (3)モノマー化したCTAR1(LMP1CPD)はフレキシブルな構造をとる領域が多く、抗体 とのComplexでの結晶化を試み、LMP1CPD c238s変異体を認識する抗体1D11を取得し、抗体との複合体サンプルの調製と結晶化を試みた。その結果、6条件で微結晶が得られた。Ⅹ線回折実験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きFull lengthの大量精製法の確立と結晶化を試みる予定であるが、目下、LMP1CPD単独、および抗体との複合体で微結晶が得られているため、その結晶化条件の周辺でさらに条件を最適化し、高品質化を目指す。良好な結晶が得られた場合はインハウスでのⅩ線回折実験を行い、抗凍結剤とクライオ条件を検索し、大型放射光実験施設においてデータ集を行う予定である。
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