2015 Fiscal Year Annual Research Report
医療技術の選択とジェンダー――妊娠と出生前検査の経験に関する調査
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25283017
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 摂子 電気通信大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60647254)
田中 慶子 公益財団法人家計経済研究所, その他部局等, 研究員 (50470109)
白井 千晶 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (50339652)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 出生前検査 / 妊娠 / 女性の経験 / アンケート調査 / インターネット調査 / インタビュー調査 / 羊水検査 / NIPT |
Outline of Annual Research Achievements |
まず2013年度に実施したアンケート調査の自由記述項目の分析を進めた。また2014年度末に実施したインターネット調査の結果のデータクリーニング、集計を実施した。そして、2014年に引きつづいて医療者と検査を受けた人等へのインタビュー調査を実施した。 インターネット調査結果は、事前調査で40万人に配信し、この調査の用件に適う20歳~44歳の女性で、出生前検査を受けているか、出生前検査を受けていない女性、計8,766名に配信して、2,378人(受検者441人、未受験・非受検者1,937人)から回答を得た。データクリーニング後に結果を分析した。出生前検査の受検率は超音波検査は9割以上だが、それ以外の母体血清マーカー、羊水検査、NIPT、NTなどはいずれも1割以下だった。NIPTと着床前検査を受けたと答えた人の割合が高く、別の検査との混同の可能性があるため、さらに検討を行っている。 2016年3月に拡大研究会(研究者向け)を開催した。「調査の概要」(柘植あづみ)、「アンケート調査結果-数量分析から」(菅野摂子)、「アンケート調査結果ー自由記述分析から」(白井千晶、石黒真里、柘植あづみ)、「インターネット調査結果」などを報告し、時間をかけて議論した。非常に有意義であった。 また2016年3月には公開シンポジウム(一般、医療者、研究者向け)も開催した。山中美智子氏(産婦人科医師)による出生前検査の説明、井原千琴氏(遺伝カウンセラー)による遺伝カウンセリング等の説明、本プロジェクトの結果を3名の演者が報告した。その後、韓国と日本、イスラエルと日本の出生前検査の比較調査を行っている研究者(洪賢秀氏とIvry Tippy氏)が発表したのちに、全体の質疑応答をした。多くの質問が寄せられ、講師からの丁寧な返答がなされたため、参加者からのアンケート評価は高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠と出生前検査に関するアンケート調査では、回収率が予想よりも高く、自由記述欄の記入率が高くて文字数も多く十分な成果が得られた。ただし、自由記述の量が大すぎたため、分析に時間がかかっている。インターネット調査は予定通りに実査を終えた。ただし、NIPTと着床前検査を受けたと答えた人の割合が予測よりもかなり高く、別の検査との混同の可能性があるため、さらに検討を行っており、もう少し時間が必要である。インタビュー調査については予定していた医療者へのインタビューは終えたが、検査を受けた女性およびそのパートナーのインタビュー協力の件数が少なかったため、基金分での調査継続をすることにした。インタビュー協力のちらし配布やホームページでの掲示によって2016年3月末から5月にかけてインタビュー件数が漸次増えており、2016年度中には本研究課題全体の成果を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査とインターネット調査については報告書と論文作成の準備をしている。 インタビュー調査については事例の検討を行いながら、インタビュー協力者を増やしている。その報告書にまとめ論文作成の準備に移る予定である。 その後に、研究成果を学術論文、図書、学会発表等で行っていく。 また、一般向けの図書・ブックレットの作成も検討中である。
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Causes of Carryover |
研究計画のうち、質問紙調査、インターネット調査、および医療者へのインタビュー調査は順調に遂行できたが、出生前検査を受けた女性とそのパートナー、障がいのあるお子さんの親(片親でも両親でも)、あるいは障がい当事者の会の方へのインタビュー調査として実施した件数が少なく、匿名性の担保を考慮した際に、インタビュー調査協力者がもう少し多くないと公表が難しいと判断し、翌年に繰り越してインタビュー調査を継続することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査のための旅費と謝金、録音データを文字起こしの依頼をする謝金に使用する。最終報告書の作成に使用する。
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Research Products
(20 results)