2015 Fiscal Year Annual Research Report
英国モダニズムの情動空間に関する総合的かつ国際的研究
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25284058
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
遠藤 不比人 成蹊大学, 文学部, 教授 (30248992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 邦生 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00459306)
中井 亜佐子 一橋大学, その他の研究科, 教授 (10246001)
田尻 芳樹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20251746)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情動理論 / モダニティ / 英国モダニズム / マルクス主義 / 精神分析 / 心理学 / 学際的応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は「情動とモダニズム」という主要テーマをめぐる国際会議への参加および主催に力点を置いた。遠藤と秦は、9月にロンドン大学で開催された「モダニズムと精神分析」をテーマとしたコンファランスで口頭発表を行い、ロンドン大学を中心とした当該分野の歴史研究者や英米文学研究者たちとの学的交流の維持と強化に努めた。具体的には、これは、海外の研究協力者であるUniversity College LondonのSonu Shamdasani教授と遠藤との共同企画でオーガナイズされた国際会議であり、プロジェクトの目的である「国際化」と「学際化」に適うものである。遠藤は、さらに、情動とマルクス主義に関する口頭発表を、2月に国内、3月に英国ウェールズの国際会議で行った。
また11月には東京大学駒場キャンパスにて三島由紀夫をめぐる国際会議の一部を主催した。具体的には、三島における「モダニティと情動」をめぐるパネルを遠藤がオーガナイズし、遠藤および田尻が口頭発表をした。その内容は水声社が出版する論集に収録される。これは情動理論を英国以外に応用するものであり、上記目的の「学際化」に適うものである。この会議の結果、近現代日本文学研究者たちと「情動とモダニティ」というテーマに関して意見交換できたことは極めて有意義であり、最終年度である今年の6月に、遠藤と田尻は日本大学で開催される三島をめぐる会議で招待講演を行う。
国際会議と同時に、国内の学会においても積極的に研究成果を披露した。中井は、C・L・R・ジェームズのマルクス主義を情動理論から再検討する議論を、日本英文学会関東支部の大会で発表し、また情動とモダニズムというテーマを深化する論文を、和文と英文で計3本発表した。遠藤は、D・H・ロレンスの心理学と情動というテーマに関する日本語論文、マルクス主義美学と情動を再考する英語論文を国内の媒体に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の研究協力者であるUniversity College Londonの歴史研究者との共同主催による国際会議を開催し、当該テーマの国際的かつ学際的研究を目指す本プロジェクトにとって、9月のロンドン大学における国際会議の成功は大きな収穫であった。これはプロジェクト初年度に成蹊大学で開催した国際会議の続編というべきものであり、情動とモダニティをめぐって「文学」「心理学」研究という枠を超えた研究をするという目的に非常に適ったものである。また研究の学際性に関して、日本文学の研究者と学的交流ができたことも大きな収穫であった。また国内外の国際会議あるいは学会において積極的に研究成果を披露するという点においても、その本数からして十分な成果があがったと認識をしている。ちなみに、最終年度の今年8月に成蹊大学で上記ロンドン大学の研究者との共同主催による国際会議を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロジェクトの最終年度である今年の最重要な目的は、上記の8月の国際会議の実施である。特にUniversity College Londonにおける心理学の歴史研究と、日本の英文学研究を学際的かつ国際的に架橋することを目的とした国際会議の三回目にあたるのが、この会議であるので、4年間のプロジェクトの研究成果を総合する機会にしたい。また遠藤は、「情動とモダニティ」をテーマとした単著を年度内に出版する予定であり、これも当プロジェクトの4年間の研究成果を総合的に世に問うものである。この著書は、心理学、精神分析、マルクス主義と情動理論の接合を目指すものであり、直接的に当プロジェクトの研究目的に適ったものである。
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Causes of Carryover |
前年度に招聘を予定していた海外の研究者の都合により、招聘を延期せざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の国際会議への海外の研究者の招聘のために使用する。
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Research Products
(15 results)