2015 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス・ヘリテージ映画とナショナル・アイデンティティに関する文化史的研究
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25284059
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
新井 潤美 上智大学, 文学部, 教授 (70222726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 克之 北海道大学, 国際広報メディア・観光学院, 教授 (00189268)
松本 朗 上智大学, 文学部, 教授 (00365678)
小山 太一 専修大学, 商学部, 教授 (00406670)
佐々木 徹 京都大学, 文学研究科, 教授 (30170682)
丹治 愛 法政大学, 文学部, 教授 (90133686)
草光 俊雄 放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヘリテージ映画 / ナショナル・アイデンティティ / アンチヘリテージ映画 / ポストヘリテージ映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、5月、7月(2回)、12月、3月と、全部で5回の研究会を開催し、7名の講師(うち6名が外部講師)の研究発表をもとに、とくに映画とナショナル・アイデンティティ、ヘリテージ映画というテーマを中心にして活発に議論した。 年度の前半は「映画とナショナル・アイデンティティ」のテーマのもとに、井出真理(脚本家)の「「路地」の小説と映画の空間をつなぐ 『千年の愉楽』のシナリオ化」、廣田秀孝(コロンビア大学講師)の「The Birth of a Nation 20世紀初頭の米国における社会、文化、アカデミアの交差点」、佐藤元状(慶應義塾大学准教授)の「イギリス映画と第二次世界大戦 アスキスのThe Way to the StarsとヒッチコックのBon Voyageを読み解く」をとおして、日本とアメリカとイギリスの映画のそれぞれにおいて、ナショナル・アイデンティティがどのように表現されているかを比較研究した。 そのうえで、年度の後半は、正統的なヘリテージ映画――末廣幹(専修大学教授)の「桟橋に点る灯り 映画『日の名残り』におけるカントリー・ハウスの〈内部〉とヘリテイジ映画の〈外部〉」、岩崎雅之(早稲田大学元助教・現非常勤講師)の「Who Shall Inherit England? E. M. フォースターと「ヘリテージ映画」」――、ポストコロニアル的なヘリテージ映画――佐藤元状の「ヘリテージ映画の影に、あるいはグリンダ・チャーダの戦略的ノスタルジア」――および、反ヘリテージ映画――前協子(日本女子大学非常勤講師)の「逃走か、適応か、それが問題だ!? 『トレインスポッティング』論」――など、多様な方向から、1980年代以降のナショナリスティックなヘリテージ映画を特質を探った。実りの多い年度だったと自己評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目にあたる昨年度は、それまでの議論を踏まえて、また、アンチヘリテージ映画、ポストヘリテージ映画との比較をふくめて、本格的にヘリテージ映画の定義にむけての議論に進むことができた。 ただ、予算の執行の面で、校務多忙のため二人ほど執行が遅れている。来年度はそのことを踏まえて、研究の役割分担と配分額とを調整し、スムースな研究遂行と適正な予算執行の両面を満たすようにする。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリテージ映画の議論は、アンドルー・ヒグソンの著作を中心に展開している感があるが、これまでの研究会の議論をとおして、その定義の不備が指摘されている。ヘリテージ映画と目されているすべての映画(労働者階級、同性愛者、ユダヤ人のようなマイノリティを描いたもの)を包含するような定義がありうるのか、同じ原作をあつかった1980年代以前の映画と以後の映画ではいったい何が異なっているのか、ヘリテージ文化のヘリテージがイングランドや英国のものに限定されるのか、それとも他の地域のものでもありうるのか――研究会で出たそのような疑問にたいして、より多くの作品を参照し、より多くの外部講師を招いて、できるだけ多方面から「ヘリテージ映画」と呼ばれている映画の定義をめざしたい。それとともに、その政治的文化的背景についても、少し踏み込んで研究していきたい。
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Causes of Carryover |
校務多忙により2名がロンドンでの資料調査に出かけられなかったため。その他、1名が次年度のロンドンへの資料調査のため、予算の執行を抑えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3名が2016年にイギリスに資料調査に出張するが、そのための海外旅費、宿泊費として使用する予定。
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Research Products
(20 results)