2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25284120
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳原 敏昭 東北大学, 文学研究科, 教授 (30230270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
誉田 慶信 岩手県立大学盛岡短期大学部, 国際文化学科, 教授 (00310144)
七海 雅人 東北学院大学, 文学部, 教授 (00405888)
狭川 真一 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30321946)
入間田 宣夫 東北大学, 東北アジア研究センター, 名誉教授 (40004048)
菅野 文夫 岩手大学, 教育学部, 教授 (40186177)
堀 裕 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50310769)
山口 博之 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (90470278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平泉 / 中尊寺供養願文 / 北海道勇払郡厚真町 / 宇隆Ⅰ遺跡 / かわらけ / 石造物 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献班・考古班・石造物班の3研究班を設けているので、各々について述べる。 【文献班】予備調査において予定していた宋版一切経の調査が困難と判断されたので、今年度はいわゆる供養願文の調査を行うこととした。9月19~22日に中尊寺において調査を実施し、内容のみならず、料紙の検討も行い、多くの新知見を得た。1月24日には、中尊寺において報告会を行い、成果の一部を還元した。 【考古班】第一に、報告書『鎌倉かわらけの再検討』を刊行した。平泉遺跡群のかわらけと鎌倉遺跡群のうち大倉幕府周辺の遺跡、さらには伊豆、北武蔵出土のかわらけを広域的に比較検討することを通して、かわらけ編年の理解を深めることができた。第二に、昨年度発掘調査を実施した厚真町宇隆1遺跡の調査報告書を刊行した。平泉関係考古資料集成に関わる作業も引き続き実施している。 【石造物班】9月21~23日に宮城県栗原市「五輪沢経塚」の測量調査、宮城県栗原市「炭焼き藤太夫婦の墓」の実測調査を実施した。前者は、12世紀代の経塚の良好な残存例であり、後者は、12世紀代に遡る石塔の可能性があることが判明した。10月3日、11月6・7日に、平泉関係石造物の資料化の一環として、平泉観自在王院、月舘大師堂、弘前市乳井神社にて実測調査を行っている。さらに2月9・10日、栗原市にて、「炭焼き藤太夫婦石塔」の残欠調査を行った。 以上に加えて本科研プロジェクトでは、10月9~11日、北海道厚真町にてシンポジウム「遺跡が語るアイヌ文化の成立」を主催した(共催:厚真シンポジウム実行委員会)。これは、町及び教育委員会の全面的な協力を得て開催したものである。本科研の研究分担者、協力者が企画・準備に携わり、また、報告・討論を行った。研究の進展にとって大きな意味を持っただけではなく、道内外から150名の参加者があり、研究の還元という点でも、意義深いものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項同様、研究班ごとに記す。 【文献班】年度当初予定していた史料ではなく、別の史料(いわゆる中尊寺供養願文)の調査に切り替えたが、このことで研究の遅滞は生じなかった。中尊寺文書の中でも、最も重要であり、議論も多い供養願文について、精度の高い調査を実施し、数多くの新知見を得たことは平泉研究、中尊寺研究に大きな前進をもたらすと思われる。中尊寺とは良好な関係を築いており、今後も協力を得ながら調査を行うことが可能となっている。 【考古班】本科研において行った北海道勇払郡厚真町宇隆1遺跡の発掘調査報告書および、本科研メンバー多数が関わった研究会の報告書『鎌倉かわらけの再検討』を印刷刊行できたことは、大きな成果と言える。特に後者は、従来十分でなかった12世紀後半の平泉遺跡群出土のかわらけと鎌倉遺跡群のそれとの関係をあきらかにしたという点において、研究史上大きな意味を持つ。 【石造物班】平泉周辺の12世紀代を中心とする石造物の資料化が着実に進展している。調査によって新たに発見されたものも多い。また、メンバーが広域的に石造物の情報を有しているため、平泉周辺以外の石造物との関連性も視野に入ってきており、研究のひろがりが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでいるので、大きな計画変更はない。以下、研究班ごとに述べる。 【文献班】中尊寺所蔵の絵図類の調査に着手する。特に中世絵図として著名な2種の骨寺村絵図の精密な調査を行う。「平泉関係文献史料集成」の準備作業も継続する。 【考古班】渥美壺と法華経を書いた手づくねかわらけが出土している奥州市前沢区の寺の上経塚を再調査し、厚真町宇隆1遺跡との関連を調査するとともに平泉藤原氏に関係する経塚造営について整理する。 【石造物班】既知の資料だけでなく、新発見の資料を含めて、調査データ(実測図、拓本など)を公開研究会や論文によって公表する。とくに新知見の資料については、個別に詳細な報告を行い、活用の道を開く。昨年度の予備調査で平安末~鎌倉前期の可能性があると判断された岩手県一関市照井神社所在の石造五輪塔、宮城県栗原市「炭焼き藤太夫婦の墓」との比較検討が可能な福島県磐梯町恵日寺層塔の調査を実施する。 なお、当初、当科研の専用ウェブページを開設する予定であったが、予算面から断念せざるを得ない。
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Causes of Carryover |
考古班で、2冊の報告書『鎌倉かわらけの再検討』および『宇隆1遺跡発掘調査報告書』を刊行した。この刊行費が、当初予定していたよりもはるかに安価ですんだ。しかも年度末ギリギリになっての刊行であったため、他の経費に振り向ける時間的余裕がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本科研5年間の研究計画の中で、もっとも研究費の配分が少なくなっている。次年度使用額と当該年度に配分される研究費によってようやく他の年度と同様の研究活動が行えるというのが実状である。具体的には、石造物班の調査旅費にあてることとする。
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] 列島の墓制2015
Author(s)
山口博之
Organizer
厚真シンポジウム 遺跡が語るアイヌ文化の成立
Place of Presentation
厚真町総合福祉センター
Year and Date
2015-10-11
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[Presentation] 問題提起2015
Author(s)
柳原敏昭
Organizer
厚真シンポジウム 遺跡が語るアイヌ文化の成立
Place of Presentation
厚真町総合福祉センター
Year and Date
2015-10-10
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