2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山田 洋 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (20158215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯村 篤範 島根大学, 大学院法務研究科, 教授 (70192490)
徳田 博人 琉球大学, 法文学部, 教授 (50242798)
角松 生史 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (90242049)
下山 憲治 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (00261719)
前田 定孝 三重大学, 人文学部, 准教授 (10447857)
戸部 真澄 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (60361242)
堀 智晴 京都大学, 防災研究所, 教授 (20190225)
野原 大督 京都大学, 防災研究所, 助教 (00452326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リスク管理 / 順応型管理 / リスク行政 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、食品・医薬品等の製品・物質法と、コンビナート・原子力施設等の技術施設法及び道路・河川等の都市施設法の各領域を題材として、静態的安定性を志向する法と動態的変動性を志向する科学技術との間にある緊張関係と、専門的知見の限界から来る未来予測の不確実性に対応する「順応型」管理手法に着目し、安全確保ないし安全性向上のための法的制御のあり方を検討することにある。特に、ここでは、安全工学の知見を取り入れながら、科学技術水準に準拠して、法的に管理すべきリスクとそうではない受容リスクの境界設定とその継続的合理性を担保する「見直し」に関する法制度設計を学際的に考察してきた。 具体的には、食品等の製品・物質法と技術施設・都市施設法それぞれを担当する共同研究班をつくり、また、特に技術施設・都市施設については工学的知見を要するため、工学検討班を組織し、協力して専門家のヒアリングと学際的研究を行うこととし、各班ごとに複数回の研究会を開催してきた。また、各班の研究に先立ち、平成25年度早々に、研究対象・項目、具体的な時期等について、打合せと相互調整をするため、全体的な検討会を開いて確定したほか、海外研究者との共同研究会の機会なども利用しつつ、各班による研究成果と共有を図ってきた。 他方、本研究は、行政法理論の展開を踏まえた制度設計を行うため、法的理論研究を行っている。文献収集のほか、比較法研究作業を進め、共同研究会で問題意識と検討課題などの共有化を図り、特に、法制度設計をより実効的で合理的なものとするため、海外の研究者との共同研究を積極的に行っており、ドイツにおけるリスク法学の第一人者であるライナー・ピッチャス博士や韓国の韓富栄博士などを招聘し、共同研究会を実施した。また、研究代表者と分担者2名がドイツ及びアメリカに渡航して、文献調査のほか、当地の研究者との情報交換等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
製品・物質法と施設法に関する各共同研究班による研究会は、ほぼ予定通り、複数回にわたり開催されており、専門家のヒアリングや参加者の研究報告などが進展している。また、海外の研究者の招へいによる研究会も、一部、招聘予定者の変更などはあったものの、順調に開催され、実りのある議論がなされている。また、海外における調査についても、予定どおり、ドイツに2名、アメリカに1名を派遣し、前者においてはリスク行政一般の法制度と理論、後者においては食品安全法制の動向について、文献収集や研究者との情報交換などを実施することができた。この間、研究代表者及び分担者各自の研究テーマに関する理解も順調に深まってきており、ほぼ順調に研究活動が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、個別法領域の研究は、安全工学の専門家である堀智晴と野原大督により構成されている工学研究班と連携しながら継続する。そして、生活基盤に関わる基本インフラ、特に都市施設法領域にかかわって、規整法に関わる議論が注目されているドイツとの対比が一つの参考となるであろうし、一方、米国では、食品及び化学物質等に関わる法改正が行われるなど、注目すべき点が多々含まれ、比較法研究にあたっても重要となる。また同時に、行政法理論、とりわけ、公私の役割分担や専門家との協働、専門家の中立性・公正性等の担保のほか、地域社会で求められる安全性水準の確定時における住民等の参加・関与などに関わる組織・手続的側面での総合的検討など、比較法的研究も継続する。 このため、ドイツからリスク法学研究の第一人者である研究者(エアフルト大学教授アルノ・シェルツベルク氏)を招聘して共同研究会を実施するほか、引き続き、アメリカやドイツでの現地調査など、海外における資料収集や共同研究なども実施する。とくに、平成26年11月に広東での開催が予定される東アジア行政法学会を機会に、中国、台湾、韓国の研究者らとのミニ・シンポジウムの開催も準備中である。また、平成27年度に開催する本研究成果を示す国際シンポジウムの準備と意思疎通、意見交換のため、打合せと共同研究を積極的に行っていく。もちろん、各研究班ごとの研究会や共同研究会なども、従来と同様に、定期的に継続していく。 なお、本研究における研究成果は、平成26年度以降、各自の論文発表などにより、積極的に公表していく所存である。
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