2014 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害時における復旧・復興支援ガバナンスの比較研究
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25285047
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Research Institution | Hyogo Earthquake Memorial 21st Century Research Institute |
Principal Investigator |
室崎 益輝 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, その他 (90026261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 恵昭 関西大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10027295)
中川 丈久 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10252751)
待鳥 聡史 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40283709)
北村 亘 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40299061)
砂原 庸介 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40549680)
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 助教 (50625085)
梶原 晶 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 講師 (50712072)
曽我 謙悟 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60261947)
大西 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90254375)
永松 伸吾 関西大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90335331)
鶴谷 将彦 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, 研究員 (20647440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 行政学 / 防災対策 / 復旧・復興支援 / ペアリング方式 / 関西広域連合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大規模災害時における復旧・復興ガバナンスとしてのペアリング支援の可能性を、東日本大震災時に関西広域連合が行ったカウンターパート方式を事例に、姉妹都市提携など別の支援枠組みとの比較及び国際比較を行うことで明らかにする。ペアリング支援とは、被災自治体を一対一で応援自治体が支援する方式である。 平成26年度は、平成25年度の研究計画に引き続き、国際比較および国内分析を並行しながら研究を進めた。そこでの成果は、主に以下の4点にまとめられる。第1は、25年度に実施したアメリカFEMA調査の分析結果について、論文の形で公表し、シンポジウム等を通じて広く一般にも公開した。第2は、ペアリング支援の元祖とも言われる台湾の「認養」と呼ばれる自治体間の支援体制について、台湾でのフィールド調査を実施した(以上は国際比較班の成果)。第3は、ミクロ的な側面より、ペアリング支援を行う職員の意識を明らかにするため、東日本大震災において被災地に応援に向かった職員を対象とするアンケート調査を実施した。第4は、自治体間の防災協定において、関西広域連合へのヒヤリングを実施し、カウンターパート方式を応用する「広域型」協定が増加していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際比較班は、台湾において「認養」とよばれるペアリング支援の在り方に関する調査を行い、アメリカFEMA・台湾の認養と関西広域連合の支援枠組みの比較分析を進めている。また国内分析班は、東日本大震災発生時の被災自治体へ派遣された応援職員に対するアンケート調査を終えて分析の段階にある。以上は前年度掲げた研究計画に則るものであり、研究進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は、前年度に引き続き、国際比較班・国内分析班が研究会を通じての相互交流を図りつつ、過去2年の研究成果の総括と公表に向けた最終的な準備作業を行う。 まず国際比較班は、前年度に実施したヒヤリング調査にもとづいて、ペアリング支援の有効性に関する最終的な考察を加える。具体的には、(1) 台湾における自治体間支援である「認養」(日本でいうところのカウンターパート方式の自治体間支援)に関するヒヤリング調査と (2) アメリカのFEMAが災害時のペアリング支援に果たす行政的役割の内容を総合的に分析する。そうすることで、民主主義国における自治体間支援に関する制度の効果とその要因を明らかにすることができる。 他方の国内班も同様に、前年度の調査を踏まえた分析作業に当てる。具体的には、(1)前年度に実施した、東日本大震災発生時の被災自治体へ派遣された応援職員に対するアンケート調査の分析、(2)関西広域連合のヒヤリング結果の分析である。以上を総合的に分析することで、初動時に機能する自治体間の連携および災害時支援協定の締結を促進しうる制度構築の材料を明らかにすることができる。 加えて今年度は、以上の国際・国内の分析結果を踏まえた上で、日本における復興支援ガバナンスを最も効率的に実施しうる制度設計のための材料を提供する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、(1)被災自治体への応援職員のアンケート調査費用が当初の予定よりも安価に実施できたこと、(2)台湾調査に関する費用も当初の予想よりも安価に抑えることができたこと、(3)前述の調査準備に予想以上の時間を要したため、予定していた東日本大震災に関連する外国語文献の購入が遅れたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
単年度では未使用額が生じたが、前述の2つの調査もすでに完了していることからも、研究全体の進捗は概ね予定通りである。よって今年度は、とくに米国のFEMA・台湾の認養システムの2つの比較研究の充実化のための文献購入および、研究進捗に応じて追加の調査実施のための費用に充当する予定である。
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Research Products
(52 results)