2013 Fiscal Year Annual Research Report
震災復興における新しいステークホルダーの合意形成とコミュニティの再生に関する研究
Project/Area Number |
25285155
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
吉野 英岐 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (90305318)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 龍史 尚絅学院大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60515394)
高木 竜輔 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (30512157)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 震災復興 / 津波被災地 / 原発事故被災地 / 地域再生 / ステークホルダー / 合意形成 |
Research Abstract |
研究実績の具体的内容は以下の通りである。研究代表者と2名の研究分担者による研究会を8月(盛岡市にある岩手県立大学アイーナキャンパス)、12月(名取市にある尚絅学院大学)、3月(12月と同じ)に開催した。研究会では、研究代表者が岩手県において、2名の研究分担者がそれぞれ宮城県・福島県においてこれまで行ってきた調査の結果をもとに、岩手県、宮城県、福島県における被災地域のコミュニティの基礎構造と、復興をめぐるステークホルダーの布置状況を確認し、論点の整理と分析モデルの構築について検討した。そのうえで、本研究における研究視角と研究方法の適用について意見交換をし、研究2年度目から実施する本調査の実施可能性を検討した結果、調査の実施が可能であることから、詳細な実施内容の確定にむけた準備作業を行うこととした。 さらに、3月に開催した全体研究会(東京都千代田区の専修大学神田キャンパス)では、研究代表者と分担者に加えて連携研究者5名が集まり、本研究のスキームと方法について、研究代表者から説明し、意見を交換した。被災地における合意形成の局面は、地域によってさまざまな形態で現れること、津波被災地と原発事故の被災地では異なる面があることが指摘された。 初年度の研究実績の意義としては、2年度目の現地調査の実施にむけて、地域手法対象者について確認ができたこと、重要性としては連携研究者からの意見やそれぞれの研究状況の紹介を通じて、多様な形態の合意形成のあり方が確認でき、ステークホルダーに関して認識の整理ができたことがあげられる。 さらに、本研究の研究視角を意識しながら、研究代表者、分担研究者がそれぞれ論文執筆と学会報告(海外での英語による報告を含む)を行い、それらの実施を通じて、本研究のテーマについて認識を深め、経験を次年度以降の研究の進展にいかすことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究会の開催と全体研究会の開催がほぼ予定通りに行われ、研究グループとしての協力体制が構築できたことによる。また意見交換を通じて、次年度の現地調査の論点を明確にすることができた。さらにこれまでの調査を生かしてそれぞれが論文執筆と学会報告を行い、論点の整理と調査課題の明確化を図ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2年度目は本研究のテーマに沿った統一的な枠組みによる現地調査を実施する。内容は、研究代表者と研究分担者が共同で岩手県、宮城県、福島県の調査対象地でそれぞれ実施する。手法は聞き取り調査を中心とする。対象者は地域での課題解決に関する意思決定を従来から担ってきた住民層と、新しい住民層や外部からの支援者を含む新しいステークホルダーとする。 震災から3年が経過し、復興の局面が変化していく中で、現地調査ではそれぞれのステークホルダーがどのような立場からどのような役割を果たしたのかを明らかにして、復興をめぐる意思決定のメカニズムや課題を現地の状況にそって分析していく。 さらにそれらの結果について連携研究者を交えた全体研究会で報告し、調査の妥当性や結果の意義について多角的に検討する。それらの作業を踏まえて、結果について学会報告(海外での報告を含む)を通じて広く発表し、研究の意義を検証していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究初年度においては、研究体制の構築と学会や研究会などのさまざまな機会を通じての情報交換を優先した結果、研究代表者と分担者が集まる研究会が3回にとどまったため旅費が予定したほどはかからなかった。そのほか連携研究者を交えた全体研究会への遠方からの出席者が予定より少なかったため、支出が少なかった。 また本調査の前提になる現地予備調査について本科研費を使用して実施した回数が研究計画よりは少なかったため、調査対象者への謝金や、調査結果をまとめるための人件費が予定ほどはかからなかったことによる。 研究代表者差と研究分担者による研究会の開催と本調査に向けた現地調査については研究2年度目の早い時期に実施し、本調査が円滑に行えるようにする。2年度目に現地予備調査を実施することで、初年度に計上しておいた調査に必要な物品費の購入と調査結果のとりまとめ作業を補助するための人件費を計画どおりに使用する。したがって初年度分の予算は本来の研究計画に沿って2年度目に使用する。
|
Research Products
(17 results)