2014 Fiscal Year Annual Research Report
ギガワット級単一アト秒パルス光源の開発と軟X線非線形光学実験への応用
Project/Area Number |
25286074
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 栄治 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 専任研究員 (80360577)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 応用光学・量子光工学 / 原子・分子物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い,二波長レーザーシステムの増幅段の構築を行った.レーザーシステムのフロントエンドに 1kHz の高繰り返しレーザーを用い,シード OPA の発生を行った.得られたシード光に音響光学素子を用いて任意の分散を与えパルス幅を伸張し,後段において 10 Hz レーザーからの高エネルギーポンプ光 (100 mJ) との OPA 増幅を行った.結果,シグナル+アイドラーで 30 mJ の OPA 出力を得ることに成功した(変換効率 ~ 40 %).さらにシグナル光 (1.4 um) をプリズムコンプレッサーによりパルス圧縮を行い,27 fs のパルス幅を得ることに成功した.これら得られた OPA スペックは研究目的で示した目標値をクリアーしており,高強度二波長レーザーシステムの開発におおよその目処がついた. アト秒パルスの非線形光学実験において,装置を構成する多層膜ミラー群によって使用できる高調波波長が制限されるという問題があった.そこで外部民間会社と共同研究を行い,XUV から軟 X 線域において連続的に反射波長をコントロールできる多層膜ミラーの開発を行った.高次高調波ビームを用いた原理実証実験にも成功しており,得られた結果を用いて特許出願を行った(出願番号:PCT/JP2014/57341,発明名称:多層膜反射鏡、分光装置、および高次高調波の分光方法). 高強度アト秒パルス・ビームラインの整備をおこない軟 X 線領域における非線形光学実験準備を進めた.また円偏光を用いた新たな赤外二波長ゲーティング法の開発を行い,極端紫外域において連続高調波スペクトルを得ることに成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに二波長レーザーシステムの開発が進んでいるだけでなく,関連成果による特許出願,新しい高強度アト秒パルス発生法の実証といった研究計画で予定した以上の成果が得られている点を鑑みて,おおむね順調な進捗であると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
二波長レーザーシステムの整備を続けると共に,発生する高強度アト秒パルスの出力安定度を向上するため,低繰り返しレーザーにおける搬送波崩落線位相の制御法を検討する.また光子エネルギー 100 eV 近傍における高次高調波発生実験を行う.アト秒非線形光学実験に向けて, He 原子における非逐次三光子吸収過程の計算機シミュレーションを行う.
|
Causes of Carryover |
科研費で光学チョッパー,ディスクリミネーター,MCP を購入予定だったが,他の計画で使用した機器を使用することで使用経費を抑えた
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
二波長合成レーザー場の外部振動に対する安定度を改善するための空気バネ搭載・大型光学テーブルを導入する際の予算として使用予定
|
Research Products
(10 results)