2013 Fiscal Year Annual Research Report
光コムによる環境自己補正型の精密長さ計測エコ技術の開発
Project/Area Number |
25286076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
美濃島 薫 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20358112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲場 肇 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (70356492)
安井 武史 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70314408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光コム / 空気屈折率 / 干渉計測 |
Research Abstract |
本研究では、精密産業の基盤である高精度長さ計測において、主要な誤差要因である空気屈折率の環境変動を、光コムと呼ばれる広帯域な等間隔の光周波数列を用いて、多波長光における空気屈折率の波長分散関係を用いることで、高精度かつリアルタイムに補正するための基礎技術を開発することを目的としている。以上の目的のため、本年度は以下の項目について研究を実施した。 まず、エルビウムドープ・モード同期ファイバレーザー(中心波長1.5μm、間隔周波数 54MHz)による光コムを作成し、干渉縞制御に必要なコムの間隔周波数の広範囲な粗調と、高精度な微調手法を開発した。ファイバベースの可変範囲の広い移動ステージをレーザー共振器に組込むことにより、1MHz以上の間隔周波数可変を実現した。共振器の偏波条件を調整することにより、すべての可変範囲において安定なモード同期を実現する領域を見つけることができた。コムの間隔とオフセット周波数を、Rbクロックを周波数標準として同期・制御した。制御の電気系の改良により、長期安定な制御を実現した。 次に、ファイバレーザーの光コムを光源として、測定光路と参照光路の長さがアンバランスなマイケルソン干渉計を構築し、光路長差がコム間隔周波数54 MHzに対応した約6 m間隔に一致した時に干渉縞が観測されることを確認した。光コムの制御のパラメータを調整し、間隔周波数、及びオフセット周波数を変化させることにより、干渉縞の包絡線と位相が変化することを確認できた。 さらに、パルス間干渉計の参照光路に音響光学素子を導入してヘテロダイン干渉計を構築した。信号の強度変化に対する干渉縞位相の変化を測定し安定性を評価した。次に、干渉縞信号を長時間モニタし、環境変動による屈折率変動の影響を調べると同時に、温度変化から、光学テーブルの熱膨張の影響を見積もり、干渉信号における変動要因を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した3つの項目について、おおむね計画通りに進行している。光源については、計画通り、繰り返し周波数を安定に広帯域可変できる光源システムを開発できた。パルス間干渉計の構築についても、計画通り、アンバランスな長光路干渉縞を検出でき、光コムの制御パラメータと干渉縞の相関関係を得ることができた。ヘテロダイン干渉計の構築についても、音響光学素子を用いて、信号強度変動に対して安定なヘテロダイン干渉計を構築することができ、干渉縞の変動要因を評価することができた。これらの基礎データによって、次年度以降、多波長化へと進める基礎技術が開発できた。
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように、本年度はいくつかの基礎データを取得することができたので、今後、それらの知見を基にして多波長化へと進めていく予定である。干渉計測に必要な、安定かつ波形のスムーズな多波長出力を得るために、光源の更なる改良を行うと同時に、干渉縞信号検出の高精度化を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、研究代表者の異動があり、新たな実験環境では光源の制御と干渉信号における環境変動の影響が想定以上に大きいことがわかった。そこで、光コム光源の制御と、干渉縞信号の検出、および信号に対する環境変動の影響評価を優先した。そのため、当初予定していた長期的な制御性能を向上させるための長期安定度の高い基準信号の導入については、次年度以降に実施することとし、短期安定度の十分な既存の設備で対応し、本年度の目標を達成した。 上述のように、高精度基準信号の導入とその評価設備、および関連消耗品の購入を行い、光源の長期的な制御性能向上を実施する。当初から請求していた次年度分研究費については、予定通り、多色化および干渉縞検出精度の向上に用いる予定である。
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Research Products
(6 results)