2016 Fiscal Year Annual Research Report
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25287029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國府 寛司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50202057)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 力学系 / トポロジー / 計算機援用解析 / 時系列 / 気象学 / 位相計算 / 生命科学 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い,28年度は以下のような研究を行い,成果が得られた:まず,課題(A)では,宮路智行氏,Pawel Pilarczyk 氏らとの共同研究により,常微分方程式の位相計算を行うためのCAPDとCOSYという2つの代表的な精度保証付き数値計算方法について比較検討し,それぞれの特長と問題点を明確にした.この結果をまとめた論文が学術誌 Applied Numerical Mathematics に刊行された.また,精度保証付き数値計算についての国際会議 SCAN において,この結果に関する基調講演を行った.課題(B)では,switching system と呼ばれるネットワーク結合系に対する位相計算理論的アプローチによる研究を,Konstantin Mischaikow 氏,Tomas Gedeon 氏らと共同で行い,2次元の場合に,switching system の位相計算で得られた Morse 分解が,switching system の通常のベクトル場への特異摂動においても存続することを示した.この結果を論文にまとめ,学術誌 Phycsica D に刊行された.課題(C)では,気象データの位相計算論的アプローチについてのこれまでの成果を論文にまとめる作業を継続すると共に,ランダム力学系としての発展の可能性について検討を開始した.以上の研究により,力学系の時系列データの位相計算理論の枠組みが,より一般的な形で整備される見通しが得られつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果をまとめた2つの論文が刊行され,またその他の論文作成の作業も進んだ.今年度が最終年度ではあるが,成果をとりまとめるために計画していた国際研究集会が,予定していた海外の講演予定者の来日日程の都合により,次年度に延期となったため,補助事業期間を延長し,その研究集会での議論を踏まえて最終的な成果の取りまとめ作業を行うこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を次年度に延長したため,本研究の最終的な成果の取りまとめは次年度中に完成させる.その後は,本研究で得られた成果を基にして,力学系の時系列データの位相計算理論をさらに発展させるための研究を継続していく予定である.
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Causes of Carryover |
平成29年3月に開催を計画した国際研究集会の主講演者として参加予定の外国人研究者が,当人の事情により3月に来日できなくなった.当該研究者を欠くことは研究集会の意義を著しく減退させるため延期が妥当と判断し,日程再調整により次年度に繰り越して実施するように繰越申請を行い,承認された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた国際研究集会を次年度に開催し,そこで行われる議論や情報交換を基に,最終的な成果の取りまとめを行い,論文を完成させる.
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Research Products
(8 results)