2014 Fiscal Year Annual Research Report
擬三角格子上の新奇な秩序状態と特異な外場応答の探索
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25287090
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 茂生 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20251613)
奥田 哲治 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (20347082)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軌道整列 / 熱伝導 / 磁気伝導 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Ba1-xSrxV13O18の単結晶のNMRを測定し、電荷整列相転移と三量体相転移をともに示すx=0.1の試料において、三量体相転移とともに1/T1がスピンギャップ的振舞を示すことを見出した。また高温相でのNMRシグナルの回転磁場依存性を測定し、四量体のVの軌道の様子を明らかにした。さらに、BaV13O18の磁気伝導を測定し、三量体相転移に伴うホール係数の符号の変化と、低温における正の磁気抵抗を見出した。 (2) Hollandite Ba1-xSrxV13O18 はTiイオンが三角格子から2列をとりだした梯子格子を形成する。この物質について、室温でtetragonalの結晶は200Kで相転移を起こすことを見出した。この相転移について、TEMの詳細な観察から、転移温度以上でcommensurateな位置に現れていた超格子ピークが転移温度以下でincommensurateな位置に動くという、奇妙な振舞を示すことを明らかにした。さらに放射光粉末x線回折実験から、200K以下でmonoclinicに歪むことを明らかにした。一方、室温でmonoclinicな試料では超格子ピークは現れず、物性の異常も示さないことを見出した。 (3) 上記のBa1-xSrxV13O18、Ba1-xSrxV13O18の他に、BaV10O15、Ba2Ti13O22などエキゾチックな軌道/電荷整列を示す物質の熱伝導を測定した。その結果、いずれの物質においても転移温度より高温では温度低下とともにフォノン熱伝導が減少するガラス的な振舞を示し、転移温度以下で熱伝導が上昇するという振舞を示すことが分かった。この結果は、転移温度より上では軌道揺らぎがフォノンを散乱し、軌道/電荷整列とともにその揺らぎが抑えられることを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験はおおむね当初の予定通りに進捗している。hollanditeに関しては、当初の予定より進んだ部分もある。ただし放射光実験など、一部の実験は予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の予定通りに進めていくが、今年度は最終年度であるので、成果を形にすることに重点を置きたい。
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Causes of Carryover |
初年度購入予定であった電気測定用ミニスタットが本科研費申請提出後、採択決定前に別予算によって購入となり、本科研費を使用する必要がなくなった。その残額で今年度消化しきれなかった部分が次年度使用額として残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定よりも液体ヘリウムの価格が上昇し、また使用予定量も多くなったため、主としてそこに使用される予定である。
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Research Products
(4 results)