2014 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解分子間相互作用検出システムの開発とタンパク質反応機構の解明
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25288005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00188674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質反応 / 分子間相互作用 / 光反応 / 拡散 / 熱力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質間相互作用は、生体分子の機能メカニズムを明らかにするために、非常に重要である。ここでは、これまで申請者が開発してきた、光化学反応でタンパク質が起こす構造変化や分子間相互用変化を時間分解で検出できる独創的な過渡回折格子(TG )測定法を、もっと一般的な手法へと拡張することを目指した。具体的には、ストップドフローシステムとTG 測定を組み合わせ、酵素‐基質反応へも適用できるようにし、ここで培った技術を利用してクロマトグラフィーとの組み合わせを行うシステム開発を試みる。まず、TG 法をストップドフローシステムと組み合わせて反応中間体の拡散係数を測定する際に最も問題となるであろう液体の乱流を回避、あるいは軽減する工夫を凝らした。標準溶液を流すことで、光励起で生じる熱の信号が再現性良く取れる方法を確立した。次に、タンパク質に応用するうえで、その量は非常に重要なパラメーターとなることがわかった。通常のストップドフローシステムでは、大量のタンパク質溶液が必要となり、応用が困難であった。そのため、使用する溶液量を格段に減らすためのサンプルセルの工夫を行った。また、高速でサンプルを流すためのフローシステムの構築も行った。 一方で、分子間相互作用を検出するために、通常のセルで光励起を使ってPixDなどの光センサーの分子間相互作用の時間変化を測定することを試みた。時間分解で熱力学量を検出することに成功し、反応途中での顕著な揺らぎ増大を見出すことができた。それに基づいて、反応機構を議論できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストップドフローシステムとTG法を組み合わせることに成功した。また、幾つかの光センサータンパク質において、タンパク質間相互作用を時間分解で観測することに成功している。この成果と機能との関係も明らかにしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続いて、溶液混合によってTG信号を得る工夫を行う。特に計画の変更などはない。
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Causes of Carryover |
貴重な生体試料を扱うためには、検出部の微細化が必要となり、このための装置構成において、試行錯誤を行っているため、当初計画していた装置類が必要なくなった。また、対象としているサンプル生成のための消耗品も少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
溶液混合で信号を検出することは成功したので、微小な生体試料で信号を安定に検出するための改良を引き続き行っていく。そのために必要となる部品などの消耗品と、昨年度必要とならなかった生体試料の生成・精製のために必要な薬品などのために使用していく予定である。
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