2014 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子をプローブとして用いるImaging-mass分析システムの構築
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25288066
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新留 康郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (50264081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新留 琢郎 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (20264210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金ナノロッド / イメージング質量分析 / 凝集状態制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
金ナノロッドの表面修飾/機能性付与に引き続き注力し、多くのバリエーションの構築に成功した。主要なものは、カチオン性界面活性剤、アニオン性高分子(PSS)、PEG誘導体、さらにこれらの状態から残存するカチオン性界面活性剤を除去する方法を検討した。質量分析の検出限界以下にカチオン性界面活性剤を除去することは困難であったものの、一連の実験の過程でAu3+が優先的に脱離イオン化する状態を見いだすことができた。また、担癌マウスに金ナノロッドを静脈投与し、腫瘍部分に蓄積する金ナノロッドの分布を質量分析イメージングによって明らかにすることができた。この成果は学術論文に投稿済みである。 これまではナノロッド溶液に基板を浸漬する方法でナノロッドの固定を行っていたが、ここでは液滴を基板上に乗せ、一定時間経過後洗い流すことで液滴の外周部から中心部に向かって連続的に固定状態が変化する固定法を試みた。過剰な界面活性剤や高分子をできるだけ除去することにより、外周部に大規模な凝集体が存在し、中心部に向かって孤立粒子が多い状態に固定することができた。粒子の凝集状態と金イオンの脱離イオン化の相関を明らかにするために有用な基板を作成することができた。固定状態の確認は吸収スペクトル、光学顕微鏡による暗視野像、走査型電子顕微鏡で観察した。凝集状態は溶液中の粒子濃度に加えて、粒子表面の修飾状態に強く依存した。嵩高い高分子を用いると孤立分散する傾向が強かった。界面活性剤で修飾したナノロッドの場合は直線状に並んだ特異な凝集状態を示す場合があったが、界面活性剤の残存量が一定にならないためか、構造の再現性悪かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成功の鍵である表面修飾のバリエーションの構築に成功した。マウスを用いた動物実験も熊本大学の共同研究先で検討が進んでいる。ナノロッドの基板への固定状態を連続的に変化させる方法を実現できたことで、今後の研究の進展を大幅に加速できると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
凝集状態と金イオンの脱離効率を定量的に評価したい。昨年度は、Au3+を選択的に脱離イオンする基板の調製に成功している。今後、凝集状態と脱離イオン化の相関について新たな知見が得られると期待している。本年度は各種表面修飾ナノロッドを用いて本格的に組織切片の免疫染色を試み、本研究の中核的な成果としたい。
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Causes of Carryover |
2014年3月に鹿児島大学着任後、11月まで学生が配属されず、研究代表者一人で理論計算と実験を実施していたが、必然的に実験量が少く、必要な経費が少なかった。11月以降、学生の配属数が実質的に確定した後、機器・器具の整備を進め、必要な試薬を購入したが、結果として基金に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は学生5名が本研究の実験を行う予定であるので、試薬や器具などの消耗品に主として充当する。さらに、最終年度であるので、成果の発表のために学会発表も積極的に行う予定である。その学会出張旅費にも充当する。全額を研究にあて、研究目的を実現する。
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