2013 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体で安定化した高分子ゲルの体積相転移を利用した波長可変レーザー発振
Project/Area Number |
25288103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (30391220)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオン液体 / 高分子ゲル / 体積相転移 / コロイド結晶 / レーザー |
Research Abstract |
本研究の目的は、イオン液体を含む高分子ゲルで永続的に安定化したコロイド微粒子の3次元規則配列構造体、すなわちコロイド結晶ゲルを作製し、そのフォトニックバンドギャップを高分子ゲルの体積相転移によって変調させ、可逆的な波長可変レーザー発振を実証する。 単分散性の高く、粒径が数百nmのコロイド微粒子の精密合成から始まり、イオン液体を含む刺激応答性高分子ゲルで安定化した高配向コロイド結晶膜を作製して、光の伝搬特性や分散関係について実験的評価と理論的解釈を行う。さらに、外部刺激によって誘起する高分子ゲルの体積相転移を利用した「新しいレーザー発振波長の可逆的なチューニングの方法論」を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPA)で安定化した均質なコロイド結晶ハイドロゲル膜を2枚のガラス基板の数百μmの隙間に流すことで、作製した。ある種のイオン液体を用いると、低温で収縮状態、高温で膨潤状態を示すコロイド結晶NIPAゲル膜を調整することができた。これは、PNIPAハイドロゲルが水中で示すLCST型の体積相転現象と全く逆の現象であり、興味深い。今後、この現象を様々なイオン液体を用いることで検討し、PNIPAで明瞭なUCST型の体積相転移現象を示すイオン液体を見つけ出す。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降の目標は、イオン液体で安定化したコロイド結晶ゲル膜の作製である。不揮発性液体であるイオン液体に着目して、永続的に安定化したコロイド結晶ゲル膜を作製する。イオン液体の親水・疎水性、アニオンのルイス塩基性、カチオンのルイス酸性、芳香族・脂肪族系化合物といった様々な物理的・化学的ファクターに着目して、イオン液体によるコロイド結晶ゲル膜の膨潤実験を行う。高分子ハイドロゲルで固定化したコロイド結晶膜をイオン液体に浸漬すると、ハイドロゲルの溶媒である水が自然蒸発するとともにイオン液体がコロイド結晶膜の中に浸透し、乾燥大気中においても永続的に安定なイオン液体を含むコロイド結晶ゲル膜が得られる。 ついで、高分子ゲルに体積相転移による反射バンド制御を試みる。ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPA)は、水中において約32℃以下の温度では膨潤し、32℃付近を超えるとLCST型の体積相転移によって、ゲルが急激に収縮することが良く知られている。一方で、疎水性イオン液体で安定化したコロイド結晶ゲル膜を作製すれば、UCST型の体積相転移に起因したブラッグ反射波長の温度依存性を示すことが期待できる。種々のイオン液体で安定化したコロイド結晶ゲル膜を作製して、温度を精密に制御することでブラッグ反射波長の変化を調べる。それとともに、本申請者が持っている独自の発光測定技術を生かして、発光色素を含む温度応答性を示すコロイド結晶PNIPAゲル膜からレーザー発光特性を評価する。
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