2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子フィードバック制御による光の非ガウス状態の生成
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25289127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津村 幸治 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80241941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 健太郎 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40639233)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 制御理論 / 量子光学 / 数理物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,量子計算・量子通信等で重要な光の非ガウス状態を,汎用的およびノイズ・モデル化誤差に対して頑健な量子フィードバック制御により生成する理論と手法を確立することである.特に,汎用性のある光学系に対して量子制御理論に裏付けされた非線形量子フィードバック制御を施すことによって実現することを考える.具体的には次の課題の解決を目指している.課題(1) 非ガウス状態を実現する光学系(含む観測系・操作系)のクラスの特定と設計.課題(2) 量子フィルターと制御則の導出および実現可能な非ガウス状態のクラスの特定.課題(3) 制御性能と汎用性の検証.このうち平成26年度では次の結果を得た.つまり平成25年度において課題となっていた,課題(2)における量子フィルター方程式の確からしさの問題を,精緻な数値実験用アルゴリズムの開発およびそれを用いた数値実験による検証によって肯定的に解決した.これによって提案する量子光学系,つまりポンプ光とキャビティからなる光の場と,そのホモダイン測定に基づくポンプ光への位相フィードバック制御の組み合わせによって,非ガウス状態が安定的に生成されることを数値実験によって確認したことと結論づけられる.またこの光学系およびフィードバック系は十分現実的であることが確認されている.その一方で,課題(2)の後半であるところの,非ガウス状態を生成する光学系および制御則のクラスの拡張については未解決となっている.また課題(3)における,提案する量子フィードバック系のH2規範に基づく制御性能評価と,実現される非ガウス状態生成システムの量子情報システムにおける汎用性の評価に関しても今後の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度における本来の計画では,課題(1)における光の非ガウス状態を実現するクラスの特定と設計,課題(2)における量子フィルターおよび安定化フィードバック則の導出と実現可能な非ガウス状態のクラスの特定を目指していた.現在,両者において非ガウス状態を実現する光学系・フィードバック則の一つが提案でき,対応する量子フィルターの確からしさが確認されている状況である.ただし非ガウス状態を実現する光学系・量子フィードバックのクラスの特定には至っていない.また課題(3)の制御性能・汎用性については着手されていない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本来,課題(1),課題(2),課題(3)の完成時期としており,研究メンバー相互の密な議論により,平成26年度の研究計画の遅れを取り戻すことが可能であると考えている.特に課題(3),つまり課題(2)で得られる制御系のH2規範に基づく制御性能評価と,実現される非ガウス状態生成システムの量子情報システムにおける汎用性評価に注力する.
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Causes of Carryover |
平成26年度に検討していた2つの課題,つまり課題(1)における,光の非ガウス状態を生成する光学系のクラスの特定と設計,および課題(2)の,量子フィルターの確からしさの検証,それに基づく量子フィードバックによる,非ガウス状態の安定化制御則の確からしさの検証のそれぞれにおいて,数値実験による検証に時間を要したため,本来の使用目的である研究発表費用や制御性能検証用の高速計算機の導入を次年度に延期するのが適当と判断した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高速計算機を導入し,主として課題(3)の検証を行う.またここまでの研究成果をまとめ,学会発表,論文投稿&掲載を予定している.そのため,平成26年度予算の繰り越し予算および平成27年度予算で,高速計算機の購入費用および学会発表費用,論文掲載費用に支出することを計画している.
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Research Products
(5 results)