2015 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・ヨーロッパ大陸間のマルチモード国際物流シミュレーションモデルと政策分析
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25289159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴崎 隆一 国土技術政策総合研究所, その他部局等, その他 (50323514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 浩徳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70272359)
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (60282034)
鳥海 重喜 中央大学, 理工学部, 准教授 (60455441)
渡部 大輔 東京海洋大学, その他部局等, 准教授 (30435771)
鳩山 紀一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60361523)
菅原 淳子 東京工業大学, 理工学研究科, 研究員 (00631277)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際物流 / 交通計画 / 経路選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際貨物輸送の実態に関する現地調査(研究テーマ①および②)については,今後中央アジアの海港ゲートウェイと位置づけられるパキスタンを中心とした南アジア地域の現地調査を実施した。 研究テーマ③(テーマ別現状分析)については,1)中央アジアの交通インフラを理解するために重要なロシアおよびソ連の鉄道網の発展の歴史を調査した。結果として,ロシア(およびソ連) における鉄道建設は,投資効率面からは地域差があり,資源開発のために人口増加を狙ったものや,安全保障面の効果を狙ったものがあることがわかった。2)LNG輸送船を対象として,実データに基づいて算出された現状の船速を基準としたCO2排出規制を行った場合の影響を,運航コストという観点から分析した。3)海賊活動の監視に対する新技術の一つである成層圏プラットフォーム(以下,PF)を活用した海賊監視システムであるSSRPに注目し,PFの最適配置について,代表的な施設配置問題の一つである最大被覆問題を拡張したモデルを提案し,ソマリア沖での海賊監視を対象として最適配置について考察した。4)北極海域から東アジアへのLNG輸送について,航路,積み替えの有無,冬季の耐氷船投入航路などのシナリオ別に運航費用を推計し,既存の調達先との比較を行った。 研究テーマ④(東アジア=欧州間国際貨物輸送におけるルート選択モデル)およびテーマ⑤(中央アジア地域の国際陸上輸送を対象としたマルチモード国際物流モデル)については,陸上モデル(道路・鉄道)についてもリンク容量を考慮したうえで,両者を統合した海上まで含めたユーラシア大陸マルチモード国際物流モデルのプロトタイプを構築した。 さらに研究テーマ⑥(モデルお用いたシミュレーション)については,上述のモデルを用いて,将来対象地域内で行われると想定される交通インフラ整備や越境サービス改善のインパクトを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通り現地調査を実施し,マルチモード国際物流モデルの構築についても,東アジア=欧州間国際貨物輸送におけるルート選択モデルと中央アジア地域の国際陸上輸送を対象としたマルチモード国際物流モデルを統合した,海上まで含めたユーラシア大陸マルチモード国際物流モデルのプロトタイプを構築することができた。また,最終年度である次年度に集中的に実施する予定であった政策シミュレーションについても,既に,上で構築したプロトタイプモデルを用いて,将来対象地域内で行われると想定される交通インフラ整備や越境サービス改善のインパクトを分析するなど,研究全体の最終的な成果目標に順調に近づきつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチモード国際物流モデル構築の課題として残っているのは,北極海航路の取り込みである。昨年度までに実施した実態調査等を踏まえ,現状での利用は少ないものの将来の利用を考慮し,モデルに含めることとしたい。 また,次年度は最終年度のため,研究テーマ⑥のシナリオ別物流シミュレーションと将来予測・政策評価について集中的に実施する予定である。なるべく多くの地域・シナリオを対象にシミュレーションを実施し,また成果を関係機関(国際機関,援助実施機関等)にPRして,実際のフィージビリティースタディ等に採用されるよう働きかけを行うこととしたい。 さらに,現状分析を中心に書籍の出版を検討しており,来年度末~再来年度頃の出版に向けて準備を行う。
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Causes of Carryover |
上表においては次年度繰越金が18万円ほど発生しているものの,実際にはH26年度に前倒しで使用しており,実際のH28年度への繰越金額は589円にとどまる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度交付金と併せ適切に使用する。
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