2014 Fiscal Year Annual Research Report
南海トラフ地震に備えた事前の「復興計画」の提案 地域文脈の解読と集落・都市の再編
Project/Area Number |
25289208
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木多 道宏 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90252593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 茂夫 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00396607)
松原 茂樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10399248)
田口 太郎 徳島大学, ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (20367139)
林田 大作 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20379613)
境野 健太郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (20468060)
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30252597)
牧 紀男 京都大学, 防災研究所, 教授 (40283642)
稲地 秀介 摂南大学, 理工学部, 准教授 (50612313)
山口 秀文 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60314506)
平田 隆行 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60362860)
安枝 英俊 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (60402971)
室崎 千重 奈良女子大学, 生活環境科学系, 講師 (60426541)
川島 智生 京都華頂大学, 現代家政学部, 教授 (60534360)
河合 慎介 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (70335123)
川窪 広明 大手前大学, メディア・芸術学部, 教授 (90290254)
木多 彩子 摂南大学, 理工学部, 教授 (90330357)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南海トラフ地震 / 事前復興計画 / 再編計画 / 集落 / 都市 / 地域文脈 / 仮設住宅 / 防災まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
【沿岸部】和歌山・海南エリア、湯浅・広川エリア、田辺エリア、すさみエリア、尾鷲エリア、阿南エリア、大阪ベイエリア(神戸市)、【山間部】紀伊半島広域過疎地域、熊野水系集落群において、下記①~⑧のテーマごとに成果を得た。①都市形成史の解明:和歌山市、田辺市を対象に市街地形成の特徴、震災・戦災による被災状況、災害復興の計画内容とその達成状況を分析。②地区・集落単位での防災まちづくり:下津町大崎を対象に非難シミュレーションを行い、海陽町宍喰浦では居住者にGPSを装着し避難訓練を行うことで避難経路の問題点を分析。神戸市長田区では被災時に対応する地域組織の構築を目指し、駐車場や倉庫を利用した「空き地カフェ」を実現。③地域レベルでの総合的な復興・再編計画:広川町では農地の仮設住宅用地への転用可能性調査、九鬼集落では空き家・空き地と防災意識の調査を実施。④仮設住宅の需要算定と供給シミュレーション:広域被災想定地域における応急仮設住宅の過不足を算定、和歌山県では木造仮設住宅の供給可能性を評価。⑤産業の持続・再編の提案:すさみエリアの事業所を対象に避難・防災・連携などの観点から事前対策の実態を把握。⑥仮設住宅・仮設市街地の提案:田辺市を対象に地元事業者・工務店・行政と連携した応急仮設住宅共同居住実験のコンセプトを立案。⑦国内外の復興事例の考察:阪神淡路大震災と中越地震の被災地における人口構造の変化をメッシュデーターに基づき分析。⑧応急・復旧への対応:紀伊半島における支援拠点と支援ネットワークを構想するため、東日本大震災被災地で重要な役割を果たした北上震災復興ステーションの活動内容を調査。また、紀伊半島においては十津川村が支援拠点の有力候補であるとの見当に至り、十津川村における基幹集落および周辺地域における人口動向、移住・転居・空き家の状況、仮設住宅の整備状況等を調査。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)広域にわたる調査対象地を研究分担者がカバーし、各地域・地区の特性に応じて、①都市形成史の解明、②地区・集落単位での防災まちづくり、③地域レベルでの総合的な復興・再編計画、④仮設住宅の需要算定と供給シミュレーション、⑤産業の持続・再編の提案、⑥仮設住宅・仮設市街地の提案、⑦国内外の復興事例の考察、⑧応急・復旧への対応、のテーマを割り当て、それぞれ詳細かつ具体的に調査・分析を進めている。 (2)広川町、下津町大崎、尾鷲市九鬼集落、海陽町宍喰浦、神戸市長田区、十津川村などでは、地元組織、行政などと連携し、研究成果を提案や実践に結びつけている。 (3)論文、機関誌、研究会などで研究成果を着実に公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
【沿岸部】和歌山・海南エリア、湯浅・広川エリア、田辺エリア、すさみエリア、尾鷲エリア、阿南エリア、大阪ベイエリア(神戸市)、【山間部】紀伊半島広域過疎地域、熊野水系集落群について、①~⑧の課題を引き続き進める。①都市形成史の解明:新たに新宮市、海南市等の予備調査を行い、学術的に有意義な都市を絞り込んだ上で、震災・戦災による被災状況、災害復興の計画内容を分析する。②地区・集落単位での防災まちづくり:下津町大崎ではシミュレーション結果を基に、避難路を確保するための空き家のコントロール手法を提示し、海陽町宍喰浦では避難経路改善のための方策を検討する。神戸市長田区では「空き地カフェ」の日常的まちづくりを、非日常の相互扶助のしくみへと展開するための検討を行う。③地域レベルでの総合的な復興・再編計画:広川町では集団移転やかさ上げに頼らない事前復興計画の検討を行うとともに、地元行政・商工会とシンポジウムを共催し研究成果を公表する。九鬼集落では、空き家・空き地を活用した避難経路の確保と移転計画を検討する。④仮設住宅の需要算定と供給シミュレーション:仮設住宅・恒久住宅・集団移転が連動した事前復興計画や、集落内の換地による浸水家屋の低減などを提案する。⑤産業の持続・再編の提案:湯浅・広川エリア、すさみエリアにおける事業所を対象に、避難・防災・連携などの観点から事業継続に関する検討を行う。⑥仮設住宅・仮設市街地の提案:応急仮設住宅共同居住実験を進めるために、地元事業者・工務店・行政との連携体制を構築する。⑦国内外の復興事例の考察:阪神淡路大震災と中越地震の被災地における人口構造の分析を進め、持続型または限界型へと推移する地区の特徴や要因を考察する。⑧応急・復旧への対応:十津川村の視点拠点としての可能性調査と紀伊半島における道路ネットワークの評価を行う。
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Causes of Carryover |
1.都市形成の研究について、他都市に比較して近い和歌山市を重点的に調査したため。また、田辺市はフィールドワークよりも文献調査の割合が高くなったため、旅費の経費が軽減された。 2.神戸市長田市における「空き地カフェ」の活動準備に予想外の時間を要したため、調査経費が軽減された。 3.仮設住宅居住実験について、メーカーや地元商工会から敷地と実験住宅の提供を得ようと交渉したが、実現までにはいたらなかったため、予定していた研究協力謝金・旅費などが生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.都市形成の研究について、新宮市、海南市などの調査対象地を追加し、その調査に使用する。 2.神戸市長田市において立ち上げた「空き地カフェ」の経過観察と評価に使用する。 3.仮設住宅居住実験の構想の具体化に向けて、地元行政・商工会・工務店との調整、導入可能性調査のための旅費・研究協力者謝金等に使用する。
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Research Products
(14 results)