2013 Fiscal Year Annual Research Report
電子および光機能を有する水酸化物イオン伝導性層状複水酸化物の創製
Project/Area Number |
25289230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
忠永 清治 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90244657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 幹雄 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40198990)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / 水酸化物イオン伝導性 / 光触媒 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、層状複水酸化物(LDH)が固体でありながら、加湿下で高い水酸化物イオン伝導性を示すことを見出している。この材料を様々な電気化学素子へ応用するためには、水酸化物イオン伝導性の向上が重要であるが、さらに無機材料の特徴を生かして、水酸化物イオン伝導性に電子伝導性や光機能性を付与できれば、応用範囲が大きく広がることが期待できる。本研究では、LDHの水酸化物イオン伝導性に、電子伝導性あるいは光機能性を付与した、新たな複合的な機能を有するLDHを創出し、これを様々なデバイスに適用することを目的としている。 本年度は、MnドープNi-Al系およびNi-Fe系LDHの合成を行い、Mnドープが電子伝導性やイオン伝導性に大きく影響を与えることを明らかにした。 また、Zn-Al系LDHの紫外光に対する光触媒活性に層間アニオンが大きく影響を及ぼすことを明らかにした。光析出法によりPtをZn-Al系LDH表面に析出させることにより、光触媒活性が向上することもわかった。 さらに、増感色素として知られるエオシンYを層間に含むZn-Al系LDHを作製し、この粉末が可視光応答性光触媒として機能することを明らかにした。一方、エオシンYを層間に含むZn-Al系LDH薄膜を用いて、色素増感太陽電池を構築したところ、可視光照射条件下で起電力を生じ、わずかながら電力が発生することを確認した。よって、エオシンYを含むZn-Al系LDH薄膜が色素増感太陽電池の電極として機能することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、3成分系のLDHの合成や光触媒活性の評価などを順調に行うことができた。特に、色素を層間に挿入したLDHが光触媒反応や、色素増感太陽電池用電極として、可視光応答を示すことを実際に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
電子伝導性とイオン伝導性を兼ね備えたLDHの開発を引き続きて行う。また、金属-空気電池の触媒層への添加効果などについて重点的に研究を進める。また、LDHの無機層に希土類をドープすることによる蛍光を示すLDH薄膜の作製についても検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者は、本研究課題の開始となった平成25年4月1日より現在の所属に異動した。当初、恒湿・恒温槽の購入を予定していたが、異動先に修理をすれば使用可能な恒湿・恒温槽が利用できることが判明した。実際、軽微な修理を行うことにより実際に恒湿・恒温槽が使用できたため、購入する必要がなかったことが最も大きな理由である。 H26年度においては、水酸化物イオン伝導体を用いた金属-空気二次電池に関する研究を進めることを予定していることから、充放電評価装置の購入に充てたいと考えている。
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