2013 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ照射部の溶接ポロシティ制御によるその場局所マイクロポーラス金属の創成
Project/Area Number |
25289240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川人 洋介 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70379105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 聖二 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (10144528)
村川 英一 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60166270)
川上 博士 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00252338)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レーザ / 溶接・接合 / 溶接ポロシティ / 制御 / その場局所 / マイクロポーラス / 金属 |
Research Abstract |
炭素社会では、金属の軽量化と高機能化が同時に必要で、ポーラス金属は期待される材料である。本研究では、レーザ照射された金属部に生じる空孔(溶接ポロシティ)を、その場局所に、密度、サイズ及び形状まで高度に制御したマイクロポーラス金属を世界に先駆けて創成する為の基盤的な研究を実施した。本年度の研究内容は、種々のレーザ溶接条件おけるポロシティ生成条件の検討、高輝度X線透過三次元観察によるポロシティ生成過程の明確化および流体解析粒子法の解析に基づくポロシティ生成機構の解明に関する研究を実施した。 種々のレーザ溶接条件におけるポロシティ生成条件の検討:レーザの照射時間とレーザパルス波形の組合せで、ポロシティの位置とサイズで制御可能性があることが明らかになった。 高輝度X線透過三次元観察によるポロシティ生成過程の明確化:溶接欠陥ポロシティは、溶着金属中に生じる球状又はほぼ球状の空洞を意味し、溶融金属の移動によって生じる。主な溶融金属の移動は、溶融池の湯流れである。高密度光エネルギーが投入される一般的なレーザ溶接では、キーホール(溶融池の深い穴)を起点とする循環流が生じ、一方、溶接欠陥は一方的な流れに起因する可能性があるという新しい見解が得られた。 流体解析粒子法の解析に基づくポロシティ生成機構の解明:レーザ光を、光速で、弾性散乱し、エネルギー授与を行う粒子として扱う全く新しい流体解析粒子法を世界で初めて試みた。キーホール内部では、レーザ光がキーホール底へ進むに伴い多重散乱を繰り返し、見かけ上、キーホール底にレーザを集光した効果が得られる現象(レーザ溶接特有のSelf-focusing現象)が数値的に解析できることがわかった。しかしながら、条件が限定的で、蒸発反力と表面張力との釣り合いについて新しい考え方が必要であることも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のレーザ溶接条件おけるポロシティ生成条件が明らかになり、高輝度X線透過三次元観察によるポロシティ生成過程では、湯流れの循環流と一方流れという観点から、溶接欠陥の生成因子とその過程を観測できた。流体解析粒子法の解析では、レーザ光を、光速で、弾性散乱し、エネルギー授与を行う粒子として扱い、キーホールが形成できるまでは、数値解析でき、気中崩壊でポロシティが生成できることがわかった。よって、研究内容と達成状況は概ね達成できており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進めいくと、新しい事実を認識した。実験では、キーホール生成は事実であるが、数値計算では、キーホール内壁の蒸発反力と表面張力との釣り合いがあって成立する。しかし、その場合は、キーホールが生成できる条件範囲が限定的となる。研究の推進方策としては、蒸発反力と表面張力との釣り合いについて考えるのでなく、X線透過観測データを詳細に解析し、実データに基づいて、光と物質との相互作用として可能な範囲で、溶融金属の物性値の扱いを再検討し、本年度のポロシティ制御によるその場局所マイクロポーラス金属の創成における制御アルゴリズム開発において、数値解析できる範囲の拡大に努める。また、米国エジソン溶接研究所での海外留学を終えた阿南高専の西本准教授の力を借りて、ポロシティ制御の研究開発に、新しい海外の考え方を積極的に導入し、研究内容の深堀りを図る。
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