2013 Fiscal Year Annual Research Report
南鳥島EEZに眠るマンガンノジュールとレアアース泥の成因と資源ポテンシャル
Project/Area Number |
25289334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 謙太郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40512083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 泰浩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40221882)
藤永 公一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (90409673)
町田 嗣樹 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40444062)
沖野 郷子 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30313191)
佐藤 太一 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 産業技術人材育成型任期付研究員 (50613246)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レアアース泥 / 南鳥島EEZ / サブボトムプロファイラー / 基盤岩 / 表層泥 / マンガンノジュール |
Research Abstract |
本年度は、南鳥島EEZ内において調査船「みらい」および「かいれい」による2航海を実施し、両船舶に搭載されているマルチビーム音響測深機およびサブボトムプロファイラーを用いた広域航走音響観測と、ピストンコアラーを用いた海底堆積物のサンプリングを実施した。その結果、以下の成果が得られた。 (1)サブボトムプロファイラーによって、基盤となるチャートの出現深度、その上に堆積するレアアース泥およびレアアース泥を覆う最上部の表層泥の厚さを船上から観測できることを明らかにした。(2)基盤であるチャート層の出現深度は、海底下20mから100m以上と幅があるが、多くの場所では20~50m程度であることがわかった。(3)レアアース泥の厚さは場所による違いが小さく、概ね20-30m程度の範囲に収まる。これに対し、表層泥の厚さは場所によって著しく異なり、まったく表層泥が載っていない場所もかなり広範囲に存在していることが明らかとなった。(4)マルチビーム音響測深機の後方散乱強度データから予想されるマンガンノジュール存在域では、表層堆積物が薄いか、もしくはほとんど無いことがわかった。このことから、レアアース泥の露出とマンガンノジュールの存在に何らかの関係がある可能性が示唆される。(5)表層泥にはほとんどレアアースが含まれていないのに対して、その下のレアアース泥には1000~7000 ppmにもおよぶ高濃度のレアアースが含まれていることがわかった。 (6)表層泥とレアアース泥の境界の出現深度は、サブボトムプロファイラーによる予想と一致することが確認された。 これらの調査とそこから得られた多くのデータによって、当初の予想以上に高い精度と確度でレアアース泥の分布を船上から効率良く行うことができるようになり、今後の効率的な広域探査への道すじを付けることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レアアース泥の探査法に関しては、当初想定していた基盤岩の確認だけでなく、レアアース泥と表層泥の見極めもサブボトムプロファイラーで出来ることが確認された。これによって、船上探査のみで当初計画を大幅に上回る高精度・高確度なレアアース泥探査を行うことができるようになった。マンガンノジュール探査に関しても、当初予定通りのマルチビーム音響測深機のデータ採取を行うことができ、レアアース泥露出地域とマンガンノジュール分布予想域との関連について興味深いデータが得られつつある。一方で、音響探査データを検証するための海底観察およびマンガンノジュール試料の直接採取に関しては年度内に行うことができず、次年度へ持ち越しとなってしまった。これらを総括的に評価すれば、研究の進展は概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に確立した船上音響観測による広域探査手法を用いて、南鳥島EEZ全域においてレアアース泥の分布についての広域調査を行う予定である。これによって、表層泥の欠落したエリアの分布確定と、その原因についての考察を進める。また、マルチビーム音響測深機によるマンガンノジュール探査法の確立、およびマンガンノジュール存在域における表層泥欠落の原因を探るために、潜水船による海底観察およびマンガンノジュールのサンプリングも行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に当初計画よりも多くの航海に参加できることが決まったことから、研究成果の最大化を図るために費用の再配分を行ったことによる。 次年度使用額については、すべて次年度航海の参加のための交通費および航海消耗品の購入費用に充てる計画である。
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Research Products
(4 results)