2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25290012
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
窪田 芳之 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 准教授 (90192567)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 抑制性シナプス / 棘突起 / 動態 / 錐体細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの胎児の大脳皮質前頭部に、プラスミド(錐体細胞をYFPで標識、PSD95(興奮性シナプス後膜物質)をmCherryで標識、GEPHYRIN(抑制性シナプス後膜物質)をTEAL (CFP)で標識するように設計したコンストラクト)を電気穿孔法(エレクトロポレーション)で入れ、シナプス結合部を蛍光ラベルした動物を使った。In vivo で、視覚野を直接見る為に、頭蓋骨を切り取り、そこにカバーグラスをあてがい、歯科セメントで固めてcranialwindowをつくる。そのwindow越しに、二光子レーザー顕微鏡でラベルされた錐体細胞の樹状突起上にあるgephyrinやPSD95のpunctateの動態を1日毎に観察した。これまでの実験(Chen et al. Neuron 74. 361-373 (2012))では、一部のpunctateは、片眼遮蔽実験時に、出現したり消失したりする可塑的な動きをするというデータを持っているが、その中でも特に棘突起にある抑制性シナプス後部にあるgephyrin punctateは、この可塑的な変化の頻度が高く回帰的に出現消失を繰り返すという結果を得た。抑制性シナプスが入力する棘突起のほとんどは興奮性シナプスの入力との2重支配を受ける事を以前報告した(Kubota et al. J Neurosci. 27: 1139-1150 (2007))が、本当にその棘突起に興奮性シナプス入力があるのか?回帰性な動態を示すgephyrin punctateは消失後に、抑制性の前シナプス神経終末は果たして消失するのか、はたまたそこに待機しているのか?という問題に答を出すため、二光子顕微鏡を使った観察の後に同じ部位を電子顕微鏡で観察するという手法を用い検討した。その結果、回帰的な反応を繰り返す抑制性シナプスの前神経終末は、完全に撤退する事はせず、もとあった位置に待機する傾向がある事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivo 実験が順調に進み、研究実績の概要に記載した通り、有用なデータを多く収集する事ができた。その結果、論文投稿をする事ができた。現在、リバイス中である。レフリーのコメントに、実験を追加してデータを新たに取る事が求められたため、現在実験を追加して解析している。来年度の最初に再投稿をする見込みである。本研究は、その点から言っても、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、in vivo実験を進めて行きたい。また、錐体細胞への興奮性、抑制性入力の分布に関しても、検討して行く予定である。
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Causes of Carryover |
他の予算で雇用していた技術補佐員が所用で3月末の3週間程休暇を取ったため、予定外にその予算があまった。その予算は、本年度中に使用する必要がある予算であったため、優先して消耗品の購入にあてた。その分、来年度にも使える本研究費の基金分の使用を控えた結果、26133円が余る結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、26133円と小額であるため、通常の消耗品購入にあてたい。
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