2013 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌のカタボライト抑制転写因子と糖トランスポーターのタンパク質修飾の分子機構
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25292044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60302197)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンカタボライト抑制 / 転写因子 / トランスポーター / エンドサイトーシス / ユビキチン化 / アレスチン |
Research Abstract |
麹菌のアレスチン様タンパク質であるCreDを欠損することでマルトーストランスポーターMalPのエンドサイトーシス依存的な分解が抑制されることを明らかにした。さらに、Rsp5のオーソログであるHulAは生育必須遺伝子であると予想されたことから、チアミン存在の有無により発現をコントロールできるnmtAプロモーターを利用した条件的発現株を作製してsGFP-MalPの蛍光顕微鏡観察を行ったところ、HulA発現抑制条件下ではグルコースを添加してもsGFP-MalPの液胞への移行は認められなかった。したがって、HulAがMalPのエンドサイトーシス依存的な取り込みに関与することが示された。麹菌HulAには3つのWWドメインが存在しており、CreD-3FLAGとGST-HulA-WWドメイン融合タンパク質を用いてプルダウンアッセイを行った結果、CreDとHulAはWWドメインを介して結合することが明らかになった。続いて、HulAのWWドメインとの相互作用に関与すると考えられるCreD上のPPLYおよび3か所のPXYモチーフに変異を導入した株を作製し、CreD-HulA間の相互作用について解析を行った。プルダウンアッセイの結果からPPLYモチーフに変異を持つCreDはHulAと相互作用しなかったため、CreD-HulA間の相互作用にはこの領域が重要であることが分かった。一方、CreDタンパク質内にSnf1キナーゼによってリン酸化される可能性のある2個のセリン残基が見出されたので、これをアラニンに置換した変異体を作製したところ、高分子側のシグナルが消失し、この2個のセリンががリン酸化されていることが示された。しかし、Snf1 キナーゼオーソログの遺伝子破壊株を作製したが、予想に反してCreDのリン酸化に影響は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルトーストランスポーターMalPのエンドサイトーシス依存的な分解にアレスチン様タンパク質であるCreDとユビキチンリガーゼHulAが関与することを明らかにした。CreDはHulAのWWドメインを介して結合することを明らかにし、さらにCreDのC末端領域に存在するPPLYおよび3か所のPXYモチーフに変異体の解析から、CreD-HulA間の相互作用にはPPLYモチーフが重要であることが分かった。一方、CreDタンパク質内にSnf1キナーゼによってリン酸化される可能性のある2個のセリン残基は実際にリン酸化されていることが認められたが、そのリン酸化にSnf1キナーゼオーソログは関与していないことが示された。今年度はCreAのリン酸化とユビキチン化まで解析ができなかったものの、ほぼ計画通りの進捗状況にあると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)CreAのユビキチン化を受けるアミノ酸を同定するため、Aspergillus属のCreAで保存されている5個のリジン残基をアルギニン置換した変異体をcreA破壊株に導入し、カタボライト抑制機能を有しているか調べ、抗GFP抗体および抗ユビキチン抗体を用いたウェスタン解析を行う。また、CreAがユビキチン化の有無によって核局在性に変化を示すのか調べるため、アルギニン置換変異体も含めて蛍光顕微鏡によるGFP蛍光観察を行う。一方、creB破壊株にGFP-CreAを導入し、抗GFP抗体ならびに抗ユビキチン抗体を用いたウェスタン解析を行うことにより、CreAのユビキチン化の有無を解析する。2)MalPタンパク質について、細胞質内に局在すると推定されるN末端領域とC末端領域に存在するリジン残基をアルギニンに置換したGFP融合変異体を作製し、グルコース存在下における細胞内局在性を蛍光顕微鏡観察するとともに、抗GFP抗体および抗ユビキチン抗体を用いたウェスタン解析を行い、ユビキチン化されるアミノ酸を同定する。3)前年度の結果から、CreDのリン酸化にSnf1キナーゼの関与が認められなかったことから、CreAおよびCreDのリン酸化を行うキナーゼ遺伝子を変異株スクリーニングにより探索し、ユビキチン化や核局在性との関連を解明するとともに、MalPについてもユビキチン化に関与するキナーゼを同定してその機能を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究はほぼ計画通り進捗しているが、研究内容の見直しなどにより当初購入を予定していた高額機器の緊急度が低くなったため、今年度の購入を見合わせたことにより基金分の予算の未使用額が生じたものである。 研究の進展により新たに何種類か抗体の作製が必要となってきたこともあり、次年度はこれらを含めて遺伝子工学および細胞生物学研究に必要な比較的高額の消耗品などを購入するために予算を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)